Sunday, March 27, 2011

20/03 福島第1原発:放射性物質への対応策 Q&A

 福島第1原発の事故で、周辺地域の農作物などへの放射性物質の影響が次々と公表されている。現状や対応策について、専門家の話をもとにまとめた。

 ◇セシウム、体内100日で半減
 Q 放射性物質で汚染された食品を食べるとどうなるの?

 A ヨウ素は甲状腺に取りこまれる性質があり、大量摂取は甲状腺がんのリスクを高める。だが半減期(放射線量が半分になる時期)は8日と短い。東京大付属病院の中川恵一准教授は「ヨウ素は1カ月で16分の1に減り、3カ月もするとほぼゼロになる」という。一方、放射性セシウムは半減期が30年と長い。環境への長期の影響が心配されるが、「体内では排尿などで放出されるので、100日程度で半分になる」(中川准教授)という。

 Q 暫定規制値って?

 A 食品衛生法に基づき厚生労働省が定めている基準。放射性物質の種類や食品ごとにあり、食品1キログラムあたりの放射能の強さを測る単位「ベクレル」で示される。都道府県などが測定し、規制値を超える食品が見つかると市場に流通しないよう措置が取られる。

 Q 「ベクレル」って「シーベルト」との違いは?

 A ベクレルは放射線を出す強さの単位で、体への影響を見るにはシーベルトに換算する必要がある。1キログラムあたり1万5020ベクレルのヨウ素が検出されたホウレンソウを食べたときの影響は0.33ミリシーベルト。日本人の1日の平均摂取量は約15グラムなので、実際の影響は0.0049ミリシーベルトになる。

 Q 食べ続けても大丈夫?

 A 日本人は普段も摂取した魚や野菜などから年間0.3ミリシーベルトを受けている。関澤純・元徳島大教授によると、ホウレンソウは洗ったり、ゆでたりすれば放射性物質はかなり減る。牛乳は「最も汚染されたもの(福島県の約1500ベクレル)でも、数回飲むくらいなら自然被ばくの10分の1以下で、飲み続けなければ大丈夫」という。

 Q 水道水は飲んでいいの?

 A 水1リットル(1キログラム)当たりの摂取制限の指標はヨウ素で300ベクレル、セシウムで200ベクレル。福島県内では17日、一時的に308ベクレルのヨウ素が検出された。厚労省は指標を超えた場合、飲用は控えたほうがいいものの、風呂や手洗いなどには問題ないとしている。飲用水がなければ、飲んでも差し支えないとの見解も示している。

 ◇現状は雨にぬれても影響なし
 Q 雨が降ってきたら?

 A 文部科学省は全国の都道府県などに対し、地上に落ちたちりや雨に含まれる放射能を調査し、可能な限り毎日、報告するよう求めている。20日発表されたデータでは栃木や群馬、埼玉などの都県で微量な放射性ヨウ素などが検出されているが、雨にぬれても健康に影響はないと考えていいレベルだ。ただし田中俊一・元原子力委員会委員長代理は「このまま大気中の放射性物質濃度が高い状態が数カ月続くと、健康への影響が心配になってくる」と話す。

 できる限り被ばくを抑えたい人は(1)外出は雨がやんでからにする(2)髪や皮膚がぬれないようにする(3)気になる場合は、流水で洗う--ことを心がけたい。

 ◇放射線被ばくについての相談電話
 放射線医学総合研究所

 090・5582・3521

 090・4836・9386

 080・2078・3308

 (24時間対応)

 ◇原発周辺住民向けの被ばく医療健康相談ホットライン(文部科学省)
 090・5582・3521

 090・4836・9386

 080・2078・3308

 090・7408・1074

 090・8591・0735

 080・2078・3307

 (午前10時~午後9時) 

英訳

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毎日新聞 2011年3月20日 20時04分(最終更新 3月21日 10時46分)

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