Saturday, April 16, 2011

31/03 枝野官房長官の会見全文〈31日午前11時〉

2011年3月31日13時57分

 枝野幸男官房長官の31日午前11時前からの記者会見の内容は次の通り。

 【国際原子力機関(IAEA)の土壌調査】

 ――IAEAが福島県飯舘村で放射性物質の濃度を調査した。IAEAの基準で避難が必要な数値を上回り、避難勧告を出すように日本政府に伝えたということだが、この勧告をどう受けとめ、どう対応するつもりか。

 IAEAの土壌の調査の中に、IAEAの基準の一つを超過するものがあったという報告と、その状況を踏まえて、この状況を慎重に把握するよう助言があった。当該周辺含めて、この間、大気中の放射線量についての継続的なモニタリングも行ってきているので、今回の土壌についてのIAEAのモニタリングの結果も踏まえながら、さらに精緻(せいち)なモニタリングを行っていかなければならない。

 土壌の放射線量が基準値を超えていることについては、長期間、そうした土壌の地域にいると、その蓄積で健康被害の可能性が生じるという性質のものなので、大気中の放射線量、周辺地域、継続してモニタリングを行っているので、今の時点で健康被害の可能性というよりも、こうした状況が継続する、長期にわたるという場合の可能性について、しっかりと把握をして、対処をしていかなければならないと、そういう性質のものだと認識している。

 ――勧告を受け、現時点で避難地域を拡大する考えは。

 ただちにそういったことではない性質のものだと思っているが、当然、土壌の放射線値が高いということは、長期的には影響を与える、蓄積をしていけば、可能性はあるので、さらにしっかりとモニタリングを行って、必要があれば対応してまいりたい。

 【海洋汚染の調査】

 ――土壌調査に関し、農林水産省が周辺の土壌調査をこれからやると発表した。海水汚染の調査については、どのように考えているのか。

 これについても、放水口の所で高い数値が出ているから、海水で拡散されると、薄まるということは想定されるにしても、万が一にも影響が出るようなことがあってはいけないので、しっかりとより広い地域でのモニタリングを強化して参りたいということで、すでに指示をしている。

 【土壌汚染】

 ――土壌の汚染について、除染で対応できるのか。

 まずはそれが人体に影響を及ぼすような可能性のある長期間になれば、あるいはなりそうであれば、退避などのことを検討しなければならないということだと思っていて、それについては大気中の放射線量のモニタリングも含め、万全を期して、そういった必要が生じた時にタイミングが遅れることがないように、万全を期して参りたいというのが現状だ。

 【避難指示地域外での健康被害の可能性】

 ――飯舘村は福島第一原発から約40キロ離れているが、長期間いると健康被害がありそうな場所はどの程度あるのか。

 現状では、そういった状況ではないということだ。土壌の放射線量が多くても、半減期の短い放射性ヨウ素の場合と、長いもので当分、土壌の放射線量が変わらないものとの場合とでは違ってくる。そうしたことは原子力安全委員会をはじめとして、専門家に分析してもらい、健康被害の可能性があれば、必要な措置をとらなければならないということで、慎重に分析をしてもらっている。

 これについては、できるだけ広範な地域で、一番量的にできるのが大気中の放射線量のモニタリングで、これについては周辺地域も、それから逆に20キロ圏内地域も、両面においてできるだけ広範に、詳細に行っている。さらに長期的な影響ということでの土壌の調査もできるだけ場所を増やして、しっかりと把握をして参りたいということは、この間、鋭意進めている。

 ――長期的というのはどれぐらいのスパンを指すのか。

 まさにそれぞれの放射線量の数字が出ているが、そこに含まれている放射性物質の、主に半減期の長い、短いということがある。それがその後増えているのか、新たに例えば土壌に降っている状況なのか、それともかつて降っていたものが、例えば、放射性ヨウ素であれば半減期が短いから、減っている状況なのか、そうしたことによって影響がどの程度の期間及ぶのか、長く及ぶのか、それとも短いものなのか、そういったことを含めてきちっと分析して、万が一にも、安全性の観点から必要な措置が遅れることがないように専門的な調査、分析を進めてもらっているということだ。

 ――長期にわたるということだが、すでにこれまでの間でも長期にわたっているという認識はないのか。

 そのことも含めて、この間、例えば放射線量のモニタリングがなされている地域、それからこれはどの程度の確かさがあるかは別としても、スピーディーによる分析などに基づき、専門家の皆さんに長期間、そこにいることによる放射線の影響の可能性については、分析し続けてもらっている。ここまでの期間も当然考慮に入れて、様々な判断を専門家に仰いでいる状況だ。

 【原発事故】

 ――福島第一原発の圧力容器の損傷状況について。専門家から周辺の水が高濃度の放射性物質を含んでいるので、圧力容器の底の制御棒の差し込み部分が損傷しているのではないかとの指摘が上がっている。現状認識は。

 燃料棒に由来する放射性物質を含んだ高濃度の水がタービン建屋などに出ているから、何らかの形で水が出ていることは間違いないが、その部分がどこかであるかについて現時点で特定ができているとか、あるいは、どの可能性が有力であるというような情報は、まだもらっていない。現場において、なかなか困難だとは思うが、直接、間接、様々な状況を分析して、できるだけ特定してもらいたいとお願いしている。

 ――圧力容器の密閉性は100%ではないという認識はあるのか。

 それは当然、燃料棒に由来する放射性物質が出ているから、残念ながらそれは間違いない。

 ――IAEAの昨日の会見で再臨界の可能性を指摘する声が出た。政府の認識は。

 IAEAのブリーフでも、こういった状況だから、あらゆる可能性を想定して日本政府としても、特に良くない事象が起きないようにやっているが、あらゆる事象について可能性を否定できない、そういったことは共有しているが、同時にそうした事態が生じているという明確な兆候があるわけではないということも言っている。また、原子炉が爆発するようなことはないことは強調したいということも言っていて、そういった意味では認識に大きなずれはない。

 ――東京電力に事故収束に向けたロードマップの作成は要請しているのか。

 東電に要請すると同時に政府としても早くロードマップを示したいと思っている。当然、周辺住民の皆さん、あるいは風評被害も含めた様々な影響を受けている皆さん、たくさんいるから、できるだけ早くにロードマップを示したいと思っているが、しかし同時にかなりの確率を持ってその方向で進めることができるんだという確証がない段階で、あまり軽々なことを申し上げるべきではない。それも一つの責任だ。現時点においては、どういう段取りで、どう収束できるのかについて、様々な手段については各国の協力も頂いて、ある意味では同時並行的に進めているが、それがどれくらいの時間でどう収束できるのかということを責任を持って報告できる段階ではない。できるだけ早く、それができるよう努力している。

 ――汚染水処理の施設を原発の敷地内につくるという話が出ているが、対応状況は。

 いろいろな可能性、いろいろな手段を同時並行的に検討し、あるいは同時並行的に模索の作業を進めているが、現時点で、このやり方でとりあえずは何とかなるという具体的な報告はない。あらゆる可能性、あらゆる方法を同時並行的に進めている。

 【政府の復興委員会】

 ――首相が有識者、財界人を含めて復興委員会を立ち上げ、復興のビジョンをつくるという報道がある。

 最終的には総理が判断されることだろうと思うが、それは皆さん、有識者の皆さん含めて色々な方から、ひとつには阪神淡路の時のやり方は、ひとつの有力な参考材料であるということは当然認識しているが、最終的にはまずどういう枠組み、段取りで進めていくのかということについて、総理のもとで検討している段階だ。まだ具体的にどういうやり方にするかということを決めたとは総理から報告を受けていない。

 ――スケジュールは。

 そのことも含めて、総理のところで最終的な検討をしている。

 【避難指示地域内の企業への対応】

 ――原発周辺の30キロ圏内には会社、事業所がたくさんあり、避難で営業できない。政府としての対応は。

 当然のことながら政府の指示に基づいて退去いただいているわけだから、それは個人であれ、事業者であれ、結果的に事業者が被っている損害はそこで働いている方などの損害になるから、これについてはしっかりと補償をしていくと。この姿勢は明確。なおかつ、例えば年度末を迎えたりすると、特に事業関係だと年度末の決算とかいろんなものがあるでしょうから、関係各省において事実上の仮払い的な、一時的なつなぎ融資を含めて、様々柔軟な対応をとるようにということは、各省対応して頂いている。

 【福島第二原発】

 ――昨日の会見で枝野さんは福島第一原発は1~4号機にとどまらず、5号機、6号機も廃炉との見解を示した。福島第二原発の1~4号機についてはどのような認識をもっているのか。

 昨日、私はそうは申し上げていないと思う。社会的、客観的状況は明らかだと思っているので、私が何らかの判断を申し上げる必要はないと申し上げた。それ以外のことについても、私は社会的あるいは広い意味で言えば、科学的な客観状況を踏まえたなかで、判断は必然的についてくるものだと思っている。

 ――第二原発についても、そう思っているということか。

 それぞれを取り巻く科学的な面、あるいは社会的な面、それぞれに事情は違っていると思う。それぞれ社会的、科学的、客観的事情が大前提になって判断は事実上それに必然的についてくるものだという認識を、一貫して申し上げている。

 ――第二原発も、第一原発の5、6号機と同じような認識を持っているということか。

 それは社会的な状況や科学的な状況というのは、私は今の段階で直接的に申し上げる段階ではない。

 【復興財源】

 ――復興財源確保のため、2011年度予算の一部の執行を留保し、復興財源に振り向けるとの報道がある。事実関係は。明日、閣議了解するとの報道もあるが。

 予算案を提出して、明日から新年度がスタートする。当然ながら、予算編成時点では生じていなかった大震災対応が生じている。当然、これについては今後補正予算などで対応していくが、予算執行にあたってもそのことを一定程度考慮するのは、ある意味当然だと思っている。その具体的な内容については、財務省において検討していると聞いている。

 ――経団連が復興財源をめぐり、マニフェスト見直しによる捻出と時限増税などを提言。受け止めを。

 もちろんこれから新しい年度が始まって復旧・復興に向けた本格的な財政措置を進めていくわけだが、それについては様々な財源確保の手法というのは、例外なくあらゆる可能性について検討しなければならないと思っているが、現段階でどういう財源捻出が有力であるとか、ましてや、こういう方向で固まっているとかいうことを申し上げる段階ではない。

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