Sunday, April 3, 2011

03/04 被災者多い原発作業員、不安も口にせず頑張る

福島第一原子力発電所の3、4号機の外部電源の復旧に向け、送電線を原発構内に引き込む作業員。防護服とマスクを身に着けている(18日、東京電力提供)

 「作業はスムーズとは言えないが、士気は高い」。

 東京電力福島第一原子力発電所内にいて本店との連絡にあたっている現場幹部が2日、取材に応じ、同原発内の現状を明らかにした。1日3食の食事が取れるようになるなど待遇は改善されつつあるが、放射線の中での厳しい作業に、自らを鼓舞しながら向かう作業員らの姿が浮かび上がった。

 「皆、地域の方にご迷惑をかけ申し訳ないと思い、仕事に打ち込んでいる」

 福島第一原発内に泊まり込む、同原発広報部の報道グループマネジャー・角田桂一さん(かくた))(42)は、原発内の作業員の思いを代弁する。


暗闇の中、福島第一原発1・2号機の中央制御室の出入管理ゲートで作業する作業員(23日、原子力安全・保安院提供)

 作業員の一部が福島第二原発に宿泊できるようになるなど、「環境は若干、改善できた」。しかし、第一原発内の「免震重要棟」2階の床や廊下での雑魚寝状態は続く。社員や協力企業社員の中には、自身が被災者であるケースも多く、「家族の健康や今後の生活など不安も多いだろうが、大半は口に出さずに頑張っている」という。

 角田さんによると、作業員が待機する免震重要棟は入り口が二重扉の構造。仕事を終えた作業員は、最初の扉を開けて全面マスクや靴、一番外側の手袋を外した後、二つ目の扉を通り、体や持ち物の線量を測る。一定以上の放射線を浴びた場合は、1階の除染室に入り、水で放射性物質を洗い流してから、2階の「緊急時対策室」で休憩する。対策室には高性能フィルターが取り付けられているが、微量の放射性物質が

津波で破壊された1、2号機のタービン建屋付近(3月23日、原子力安全・保安院提供)

入り込むことまでは防げない。

 厳しい環境だが、修復作業が進むことが、作業員の心の支えになっているという。角田さんは「中央制御室の照明が復旧した時、原子炉への注水が淡水に切り替わった時には、拍手や歓声が上がった」と言う。こうした情報は、毎日午後8時ごろに対策室で開かれる「夕礼」と呼ばれるミーティングで全員に伝えられる。作業員の苦労を伝える国内外の報道が紹介され、励ましになることもあるという。

 作業員は、原発内で3~5日程度泊まり込みで作業した後、外に出て休暇を取り、また戻るローテーションを組む。今、現場を最も悩ませているのは高濃度の放射性物質を含む汚染水の処理で、角田さんは「被曝
ひばく
事故を避けるには長時間の作業はできないが、対策はあるはず」と自らを鼓舞するように話した。(吉野裕介、松田晋一郎)

(2011年4月3日12時24分 読売新聞)

No comments:

Post a Comment