Saturday, May 7, 2011

06/05 浜岡原発:津波対策「不十分」と指摘 30年以内にM8級


中部電力浜岡原発。敷地の沿岸には砂丘が堤防のように広がる。中電は「砂丘が津波を防ぐ」と主張している=静岡県御前崎市で、平野光芳撮影
中部電力浜岡原発。敷地の沿岸には砂丘が堤防のように広がる。中電は「砂丘が津波を防ぐ」と主張している=静岡県御前崎市で、平野光芳撮影

 浜岡原発は、東海地震の想定震源域の真上に立地している。東海地震はマグニチュード(M)8級の巨大地震で、今後30年以内に87%の確率で起きると推定されており、唯一予知体制が敷かれ、地震対策が集中的に進められてきた。

 中部電力は3、4号機について、国が06年9月に原発の新耐震指針を出す前の05年10月、耐震補強工事を始めた。想定する地震の加速度も従来の600ガルから800ガルに引き上げ、補強工事で1000ガルの揺れにも耐えられると説明した。しかし、新潟県中越沖地震(M6.8)の際に東京電力柏崎刈羽原発直下の岩盤で、同原発の想定を大きく上回る1000ガル近くの揺れが観測された。

 一方、津波については、過去に浜岡原発の敷地に最も大きな影響を及ぼしたと考えられる1854年の安政東海地震の痕跡高などから、敷地付近の津波高は満潮でも最大6メートル程度と判断した上で、対策を進めていた。中部電力によると、浜岡原発の敷地の高さは、想定していた津波高以上の6~8メートル。さらに、敷地前面に高さ10~15メートルの砂丘が存在している上、原子炉建屋の出入り口は防水構造にしており、「津波に対する安全性は十分確保している」としていた。

 しかし、東日本大震災の津波で福島第1原発は非常用発電機が同時故障し、原子炉冷却機能が失われて水素爆発が起きるなど深刻な事態になった。事故を受け、中部電力は浜岡原発に高さ15メートルの防波壁を作る方針を示したが、同原発の運転差し止めを求めて係争中の原告側は「せめて防波壁が完成するまで運転を止めるべきだ」として6月にも運転差し止めの仮処分申請を行う方針だった。

 また、中部電は4月28日に発表した12年3月期の業績予想で、10年11月から定期検査中の3号機を7月に運転再開すると表明した。中部電は福島第1原発事故を受け、高さ15メートルの防波壁の設置や非常用電源の確保などに約300億円をかける緊急対策をまとめている。一方、川勝平太・静岡県知事は「津波対策が不十分。7月の再稼働は客観的にみて難しい」と話していた。

毎日新聞 2011年5月6日 21時08分(最終更新 5月6日 21時13分)

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