Wednesday, December 14, 2011

02/12 12月2日付 よみうり寸評

 師走到来。急に冷え込んできたきのう、きょう、師ならぬ学生が走っている。大学3年生の就職活動が1日、本格的に始まった◆昨年より2か月遅い。経団連が「倫理憲章」を改め、会社説明会などを例年の10月スタートから12月以降としたためだ。一方、採用試験の開始はこれまで通り4年生の4月で変わらない◆採用も連動して遅らせればいいが、これでは試験までの期間が短くなり、学生に焦りが見えるようだ。が、待てよ。3年生よりも来春卒業なのにまだ就職先の決まらない4年生を思う◆〈新入社員諸君! この人生、大変なんだ〉――かつて作家山口瞳さんはこう呼びかけた。が、今は新入社員になる前から、学生諸君は人生の大変を知っている◆山口さんには〈新入社員諸君! ゆっくり、 ゆっくり〉というのもある。就活も焦らずにいこう。学業専念の本来を思えば、3年生の10月に就活開始は早すぎる◆12月でもまだ早い。1950年代は4年生の10月だった。本来の姿へ少しずつでも戻すのは悪くない。
(2011年12月2日13時44分  読売新聞)

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