Sunday, May 15, 2011

12/05 枝野官房長官の会見全文〈12日午前〉

2011年5月12日14時55分

 枝野幸男官房長官の12日午前の会見全文は次の通り。

 【冒頭】

 「北方対策担当相としての立場になるが、ビザなし交流にかかわる後継船舶の船名が決まったので報告する。北方四島との交流事業に使用する新たな船を来年度の供用開始を目指し、現在建造中だ。完成は来年1月の予定だ。この船の名前を一般公募し、選考委員会で検討してきたが、この度、『えとぴりか』に決定した。これが船の完成予定図だ。えとぴりかは、北方四島及び周辺に生息する海鳥で、アイヌ語の『えと』、くちばしという意味。『ぴりか』、美しいという、つまり美しいくちばしというのが語源だそうだ。この新しい船で、来年度以降の交流事業の一層の活性化に期待している。今年度のビザ無し交流は明日13日から実施の予定だ」

 【普天間移設】

 ――米上院軍事委員長や理事らが、普天間飛行場を辺野古に移設するとした日米合意を、日本の政治状況の変化や財政悪化によって非現実的になったとして、嘉手納への統合を検討するよう国防総省に提案した。日本政府は辺野古移設の方針に変わりはないか。

 「指摘の提言については米国の上院議員の皆さんが議員としての見解に基づいて行った提言と承知している。政府間では昨年5月に日米合意が結ばれていて、日本政府としてはこの日米合意を着実に実施するという方針に変わりはない」

 ――嘉手納統合案は政府で検討した経緯があるが、さらに検討する考えはないか。

 「少なくとも現時点で米政府と日本政府それぞれの執行機関同士においては昨年5月に日米合意がある。執行機関としては、この両国の執行機関同士の合意に基づいて、一方で我が国の政府としては沖縄の負担を速やかに軽減するとの考えのもとでこの合意を着実に実施するという方針に変わりはない」

 ――長官は4月28日にレビン氏らと官邸で面会したが、この話はあったのか。

 「基本的に外交関係の話の内容について、詳細に話すべきではないかと思うが、指摘のような話はなかった」

 ――レビン軍事委員長は米軍再編に対する影響力が強い。今後米側が再検討を始めた場合でも、日本政府としては立場を変えないという理解でいいか。

 「2国間の政府同士の日米合意がある。大変これは重たいものだ。仮定の質問にお答えするべきではない」

 ――沖縄も辺野古案には反対している。それでも辺野古移設を見直さない理由は。

 「大変実力者で立派な方だと承知をしているが、米国議会の議員の方が議員という立場でおっしゃった意見だ。当然、どの国の議会においても様々な意見があるのは当然だが、国家と国家の関係では、執行機関、執行行政府同士の合意がある以上、それは大変重いものだ。日本政府としてはこの合意を着実に進めていく。それにあたっては沖縄の基地の負担軽減について全力を挙げていく。この姿勢について、この合意が現時点で有効に前提になっている以上は、こう申し上げるのが当然だ」

 ――レビン氏らは東日本大震災の財源のために日本の財政にも配慮すべきだと指摘している。莫大(ばくだい)な金をかけて代替案を進める必要があるのか。

 「まずアメリカ政府の見解とか意見ではなく、議会の中には様々多様な意見がどの国にもある。民主主義の国であれば。大変重鎮の重要な力のある方の意見ではあるが、そういうことが前提だ。そうしたことの中で、東日本大震災の影響についてご配慮を頂いていることについては感謝を申し上げるが、その内容について、直接コメントする立場ではない」

 【福島第一原発】

 ――昨日3号機で高濃度の汚染水が流出したが、どういうタイミングで諸外国に通告したのか。

 「昨日の朝、3号機の竪坑閉塞(へいそく)作業中の作業員が水の流れる音を聞き、周辺を調べたところ、3号機タービン建屋の海側にある電源ピットに水が流入していることが分かった。近傍の海水面にも泡だっている部分があり、何らかの経緯で海水に排水が流出している可能性がうかがわれたもので、直ちに流入している水と近傍海水をサンプリングして放射性物質の濃度を分析したところ、いずれにおいても高い濃度の放射性ヨウ素及びセシウムが検出された。並行して海水流出経路の確認と、コンクリート注入の止水作業を行って、昨日の夕方18時45分には海への流出が止まったことが確認された、と報告を受けている。2号機のたまり水が4月初めに海に流出した上に、今回再度放射性物質が海に流れ込む結果となったことは大変遺憾であり、地元の方々、漁業関係者、近隣諸国などには重ねてご心配とご迷惑をおかけしたことをおわびを申し上げたい。具体的な状況の報告は、統合対策室の方で担当し、そこと外務省でやっているので、統合対策室の方の会見でおたずね頂きたい。なお引き続き、海水のモニタリング結果を注視し、放射性物質の放出が止まっていることについてのチェック、確認、環境への影響の確認をして参りたい。現在のところ、放水口付近の放射性物質の濃度は高くなっているが、その外側の部分、放水口から30メートルぐらい離れたところでは濃度は高くはなっているが基準値の2~3倍程度というところにとどまっていて、この間千倍、1万倍を超えるようなものが外に出て、それがかなり周辺部分でも高い濃度で広がっているが、この間の取水措置の効果が表れているのか、それとも時間の経過とともに値の数字が高くなっていくのか、しっかり監視して参りたい」

 ――タービン建屋の地下では先週から汚染水の水位が上がった。汚染水の管理は十分対応できていたのか。

 「現在、なぜこれが流出することになったのか、流出の経路、原因について早急に調査をするよう指示している。コンクリートをしっかりと打ち付けることで止水をしたという状況なので、やはり原因等をしっかりと認識をして、今後のこういったことが起こらないような対応は必要だろうと思っている」

 ――今後、梅雨の時期になる。大雨で放射性物質が流れ出ることが想定されるが、雨対策は考えているか。

 「雨対策も当然含まれるんだと思うが、いずれにしても冷却等のために相当の量の水を使っている状況が継続している。そのことによって生じた大量の汚染水の処理、それを環境に流出させないための対策は現在進めている工程表においても大変重要な要素で、順次その作業を進めている」

 ――1号機で水位計を修理したところ、圧力容器や格納容器でほとんどの水がたまっていないことが分かったが、格納容器に水漏れがあったのでは。

 「指摘の通り、昨日、1号機の圧力容器の水位計のうち一つの系統について、校正作業という作業を行ったと聞いている。その結果として、これまで燃料棒の中間付近までの水位を示してきた計器が、その数字を見る限りでは燃料棒下部以下の水位を示す結果となっている。本日以降、他の複数の計器の校正も行うことにしているが、これらの結果も勘案しながら原子炉の状態について再度評価していくことが必要であると認識している。計器の方に不具合があるのか、それとも指摘のようなことがあるのか。水の量を増やすと冷却がさらに進んで、全体としての冷却が進んでいるという状態は、長期にわたって続いている状況だ。そうした意味では炉の状態は、ある意味で安定をしている状況なので、ただ、この計器の数字はそれとある意味で矛盾をする部分があるので、しっかりと状況を確認し、状態の再評価をして参りたい」

 ――原子炉の冷却には水をためる方法をとってきたが、冷却方法の見直しの必要性は考えていないのか。

 「少なくとも、いまただちに採りうる策としては水を注ぎ込むことで冷却をするという以外の直ちに採りうる効果的な方法というのは私は承知していない」

 ――INES評価でレベル7になってから1か月。放射性物質が放出されている現状と、総放出量が明確になっていないことについての見解は。

 「まず、これはもちろん、福島の周辺の住民の皆さんはもとより、国内の多くの皆さん、世界の皆さんに大変ご心配をおかけしている状況が続いていることは大変遺憾に思っている。ただ、一方で、急激な悪化、さらなる悪化を防ぎながら収束に向かっていくという方向に向けては、当初の予想された通り、様々な困難はあるが、一歩一歩前に進んでいる状況で、できるだけこの歩みを着実に進めてまいりたい。放射性物質の放出量の総量の把握については、これは技術的なことだが、私が承知をする限りでは、そもそもが放出時点における様々な原子力発電所における計器その他が十分に機能していなかったということから、いずれにしても推測で把握するしかないという状況が前提になっていると、私は認識している」

 【賠償の枠組み】

 ――原発事故の賠償スキームの決定の日程は。

 「今日の夕方にも総理にも出席を求めた関係閣僚会合を開催しようという調整をしている」

 ――賠償資金の確保のための電気料金の値上げが焦点になっている。政府は東電のスリム化が第一条件だと強調してきたが、電気料金の値上げは行わずに資金の確保はできるのか。

 「賠償額全体がまだ残念ながら見通しすら十分に立てられない状況だ。確定的なことは申し上げられない。しかしながら、基本的に電力料金の値上げによらずに賠償の資金を出す。そのためのスキームをつくったつもりでいる」

 ――将来的にも上げずに、長期にわたってまかなえるスキームをつくるということか。

 「そのつもりでスキームをつくってきた。ただ、一方で、国としての責任もある。いわゆる賠償については東京電力にしっかりと責任を果たして頂く。一方で、国としてはこれ以上の被害を拡大させないことについて、あるいは生じている被害をできるだけ小さくする。例えば、できるだけ早く戻って頂くとか、事業を行っている皆さんの状況についてであるとか、土壌の改良であるとか、こうした周辺住民の皆さんをはじめとする国民の皆さんへの影響をできるだけ拡大させない、あるいは小さくするということについては、これは別途、国の責任でしっかりと進めていく責任がある。今後もそれについては強化をしてまいりたい。結果的にこういった被害の拡大を抑える、影響を小さくするという政府の努力が効果を上げれば、その分だけ損害額が小さくなる。賠償額が小さくなる。こういった形で国としての責任をしっかりと分担して参りたい」

 ――電気料金の値上げで賠償額に充当しないと言ったが、そもそも原発が止まった時点で発電コストが高くなることに伴う値上げは考えられないか。

 「それについては、現時点で確定的なことを申し上げる段階ではないと思っているが、これも全体の経営努力等の中でできるだけ吸収して頂くことが前提になっている」

 ――株主の責任や金融機関の債権カットは求めていくのか。

 「気を付けないと、民・民の関係なので直接求めていくことが政府としてできるのか、望ましいのかということについて課題はあるが、報告を求めることについて確認をしている。そして、今度のスキームは自動的に政府が支援を続けるというものではない。金融機関等の協力のあり方とかについて着実に進まなければ、それはそれで支援をどうするかということは、途中の段階でもいろいろ判断するつもりでいる」

 【ビザなし交流】

 ――ビザなし交流は返還に向けた環境整備としてはマンネリ化しているとの指摘も出ている。改めてビザなし交流の意義は。

 「ビザなし交流によって一定の理解等が深まることというのは、一定の効果があることだろうと思う。ただ、さらに4島返還に向けたエネルギーを高めていく、効果を高めていくことのためにはさらなる工夫も必要だろうという風に思う。私自身、担当大臣になってから特に国民的な問題意識の共有が大変重要だろうということで、できるだけ若い人たち、特に教育の現場などで、それも教科書に1行載ればいいとかそういう話ではなくて、実際に多くの子供たちが北方四島の問題、歴史的な経緯等について具体的な知見を深められるような工夫がないか等について、事務当局といろいろ相談しながら一歩ずつだが前に進めている状況だ」

 【東電賠償枠組み】

 ――土壌改良の費用について東電に対して求償する考えはあるか。

 「これはまさに最終的にいずれ考えないとならないが、特に国民の皆さんに対する影響を小さくするということについては国が直接的に国の責任として行っていく部分は多い。現にこの間もそうしたことについては一歩ずつ進めてきているところだ。今後もそうした努力は国として直接、避難をされている皆さんと周辺の皆さんの安全を確保するということのためには東電との賠償等を待たずに対応していく部分は少なからずある」

 ――交付国債について、最低でも5兆円になるとの報道もあるが、国債の割り当て規模は盛り込むことになるのか。

 「全く考えていない。なぜならば、これから第三者委員会を送り込んで、まさにどれくらいの資産状況にあって、どれくらいの経費の節減ができるのかを見極め、なおかつどれくらいの損害額になるのかが、これは相当な時間がかからないとはっきりしない。そうしたことを踏まえながら、適宜必要な対応をしていくことになる」

 【普天間移設】

 ――レビン氏の提案は米政府にあったが、日本政府にこの提案の連絡はあったのか。

 「少なくとも私のところに報告はない」

 ――日本政府が日米合意の見直しを米側に提起する考えはあるか。

 「いま日本政府としては、沖縄の基地の負担軽減を進め、沖縄の皆さんの理解を求めながら、昨年5月の日米合意の着実な実施に向けて努力をしていくのが、今の時点の日本政府としての考え方だ」

 【メア元日本部長】

 ――メア氏がアメリカの民間会社に再就職した。使用済み核燃料の再処理業務に従事していることが明らかになっているが、受け止めと、昨日官邸にも来たがどんな説明をしたのか。沖縄関連の発言について政府として確認をとったのか。

 「まずメア氏が民間人としてどのような仕事をしているのかについて、日本政府として、少なくとも私は承知をしていないし、そのことを承知する立場でもない。昨日、メア氏が官邸を訪問したということは聞いたが、どこに何しに来たのか確認したら、前田内閣参与がメア氏と旧知の間柄で、訪日したメア氏が旧知の間柄である前田参与を訪問をしたということだと報告を受けた。単にあいさつに来たに過ぎないとは考えるが、いろいろと臆測を呼ぶので今後はより慎重に行動をして頂ければ、前田参与にそうして頂ければと思う」

 ――沖縄への発言内容を確認はしたのか。

 「だから政府に来たのではなくて、旧知の前田参与のところに私的に訪れた。事後的にそのことを知ったので、日本政府として何か申し上げる立場でもないということだ。ただ官邸においでになると、日本政府との関係で何かされたかのような誤解を招くので、その点については前田参与にも慎重に対応して頂きたいと思う」

 【二重ローン対策】

 ――菅首相が5月1日の参院予算委で、大震災による二重ローン対策を検討したいと発言した。その後の検討状況は。

 「その時総理がおっしゃったかどうかは確認していないが、私も含めて二重ローンの問題についてはかなり早い段階からの検討テーマ、重要な検討テーマの一つだ。ただなかなか、思いはみんな共有しているが、どういうスキームでどう行えば、適切かつ公平にこうしたことが対応できるのかということについては、関係各省と事実上連携しながらいろんな検討をして頂いている。なかなか壁が厚い状況にある中で、その壁を突破できないか、様々な模索をしている状況だ」

11/05 枝野官房長官の会見全文〈11日午後4時〉

2011年5月11日17時53分

 枝野幸男官房長官の11日午後4時の記者会見の内容は次の通り。

 【出荷停止の解除】

 出荷制限の解除について報告する。福島県の一部地域において産出されたホウレンソウなどの非結球性葉菜類、キャベツなどの結球性葉菜類及びブロッコリーなどのアブラナ科の花蕾類について出荷制限を解除することとし、福島県知事に指示した。

 【東京電力賠償スキーム】

 ――東電から政府要望への回答がきたと思うが、受け止めを。

 これで被災者に対する賠償などについての支援をどういうふうに組み立てていくかというスタート台に立てた。

 ――この後関係閣僚会合が行われるが、回答受けて新たな段階に入るのか。

 そうだ。これで一つの前提は整った。

 ――決定までのスケジュールは。

 大変重要なことだ。様々な広範な検討が必要だ。現時点では、できるだけ早くということだ。

 【エネルギー基本計画】

 ――首相が会見でエネルギー基本計画の見直しを表明したが、自然エネルギーなどの検討をどう進めていくか。

 これからそういった方向への検討を始めていく。

 ――首相は再生可能エネルギーを増やす方向性は打ち出したが、原発については言及がなかった。検討結果によっては原発は予定通り、ということもあり得るのか。

 自然エネルギーの比率を高めていこうと。それから原子力の安全性を高めていこうと。そして今の基本計画については、もう一度白紙で検討しようと。その三つに尽きる。

 ――現在の基本計画にも安全性を高めるという記述はある。例えば、原発が50基だったら危険だが、40基だったら安全という議論にはならないが、どういう視点で検討していくのか。

 それはまさにこれから検討していく。

 【原発事故検証】

 ――原発事故の検証について、細野首相補佐官が首相の危機対応についても検証の対象になると発言しているが、同じ認識か。

 総理だけではなく、私や細野補佐官も含め、政府か東電、全体の事故にいたるまでのプロセス、事故発生後のプロセスは全て検証しなければいけない。そうしたことを第三者性を確保した中で検証して頂ける委員会を立ち上げるべく準備を進めている。

 ――事故発生以前の自民党政権から続く事故までの経過については、検証の対象にならないのか。

 もちろん全てだ。なぜ事故になったのか。なぜ事故を事前に抑止できなかったのかということが一つの大きなポイントだ。制度的な問題もある。そういったもの全て含める。同時に事故発生以降の対応策が万全であったという思いで進めてきているが、本当に万全であったのかということは第三者的に客観的に検証してもらう。

 ――官邸内の議事録も、検証委員会に提出するか。

 原子力災害対策本部などについては、一定の議事メモは残っていると思うが、危機管理、危機対応なので議事録をとるような場がほとんどなかったというのが実態だ。多分この間の記憶に基づく証言を求められることになるだろう。

 ――検証結果の公表はどうするのか。

 結果だけでなくて、プロセスも含めて全面公開をしようと思っている。

 【首相の責任】

 ――東電役員は事故の責任をとって辞職の意向を示しているが、首相が責任をとって辞めるということはないのか。

 総理が昨日、原発事故について国にも責任があるという趣旨のことを言ったのは、まさにこの大きな意味でのこの国の原子力政策は国が推進をしてきたという大きな意味での政府としての責任ということをおっしゃった。

 【沖縄政策協議会】

 ――開催日は。

 沖縄県とも相談しなければいけないので、5月下旬にはということで調整をお願いしているが、確定したかどうかという報告は受けていない。

11/05 枝野官房長官の会見全文〈11日午前〉

2011年5月11日13時21分

 枝野幸男官房長官の11日午前の記者会見全文は次の通り。

 【冒頭】

 「今日で東日本震災から2カ月になる。今なお不自由な避難所生活等続けられている皆さんはじめ、被災者の皆さん、原発事故によって避難等影響を受けられている皆さんにお見舞いとおわびを改めて申し上げたい。同時にこの間、自衛隊、警察、消防、自治体の皆さんはもとより、多くのボランティアの皆さんが現地でボランティア活動に従事され、現地には赴かなくても様々な形で多くの国民の皆さんがこの震災に対する力を発揮、力を合わせてご支援頂いてくれていることに改めて感謝申し上げる。先ほど国会対策委員長会談に呼ばれて出席した。13日に興基本法案と内閣法改正案を閣議決定し、国会に提出したいと思うが、このうち内閣法改正については、この震災対応等のために当面、国務大臣、副大臣等の増員をするという内容になっている。現在国会に提出して審議をお願いしている政治主導確立のための内閣法等の改正案と趣旨は異なるものの、内容的に重なる部分があることから、こちらについては取り下げしたいということで、その取り下げの説明とお願いをしてきた。政府提出法案の取り下げは、今国会三つ目になるが、政治主導確立のための法整備については、この政権の一つの大きな柱であって、できればこれまでの間に成立をさせて頂きたいとの思いだったが、残念ながらそうした状況にならず、なおかつ今、東日本大震災に対する対応に全力をあげないとならない状況の中では、制度そのものの改正である、現在提出中の内閣法改正については、いったんは棚上げというか断念というかさせて頂き、この震災対応のために当分の間閣僚等を増員させて頂きたいということで、何とか国会にもご理解頂きたいと思っている。国民の皆さんにもぜひ、ご支援を頂きたいと思う」

 【復興基本法案】

 ――復興基本法の付則に復興庁設置の検討を盛り込むのはなぜか。法案の担当大臣は誰か。

 「まず内容については、最終的に金曜日に閣議決定をしようと思っている。指摘のような内容も含む方向で検討している。復興の実務を担う部局については当然のことながら、震災前にはない部局が幅広い分野について相当の陣容で実際の行政事務を行わなければならない。そこについては相当の規模と権限と一定の期間、半年とか1年ではない年単位の期間そうした業務が必要であるということを考えると、いわゆる庁の形をとった方が分かりやすいという側面もあろうかと。ただ、そういったことを一気にやろうとすると立ち上げに時間がかかるであろうということから検討条項として、まずはすぐに立ち上げられる構造から実際の実務を始めていきたいという内容にしたい。担当大臣ということの意味は二つあると思うが、復興そのものを担当する大臣をどうするのかということについては、同時にお願いする内閣法改正とも絡んできて、プラス閣僚の人事の話なので総理の判断だ。法案そのものを国会で審議頂くにあたっての担当大臣については、提出までに整理したい」

 【内閣法改正】

 ――復興担当大臣については内閣法改正の成立が条件になるのか。

 「少なくとも一つには、それがどうなるのかとの見極めが必要であると。できれば国会に速やかに理解を頂いて復興を専任的に扱う大臣が必要ではないだろうかということを国会の理解をお願いしていきたい。もう一つは実際に復興業務を担うのは法律と復興を担う部局の立ち上げの段階からなので、それを立ち上げるための法整備の担当とは切り離して議論はできる」

 ――内閣法の改正で増やす大臣の数とどの部分になるのか。

 「大臣については3名を当分の間、この震災対応のためにお願いしたい。具体的にはまさに閣僚人事なので、最終的にはそれぞれ与えられた枠のなかで総理が人を当てはめながら置いていくが、そういったことを前提に最終的な整理の仕方は、人のあてはめのところで総理の人事権との絡みで確定する話だが、一般的にこの震災に対する対応と原発に対する対応、そしてもう一つは様々な閣僚が今の17という枠の中ではいろいろ兼務している閣僚が従来もたくさんある。その中で復旧、復興に対しての態勢を強化する上での整理をしたいのが、この法案を作り始めたところからの趣旨だ」

 ――民主党は与野党協議の中で、復興担当以外に環境大臣と沖縄北方大臣を切り出したいという話を投げていたと思うが。

 「一つの分かりやすい例示としては、現にいま防災担当大臣が環境大臣を兼務している。私が官房長官と沖縄北方担当大臣を兼務している。こうした兼務の状況の中で震災対応に万全を期したいということで岡田幹事長が話したと思う。具体的にどなたの兼務をどう解いて、どういう風な形で復旧、復興や原発対応ということへの専任になるのか、ならないのかということは最終的には人事と絡んでくるが、趣旨としては私が申し上げたことと岡田幹事長が例示として言ったことと趣旨は共通している」

 ――福島県の校庭で削った土の処理で、県から政府に対して、支援策要望があがっている。今の検討状況はどうなっているか。

 「何度も言っているが、年間20ミリシーベルトに達しないようにという範囲の中でできるだけ1ミリシーベルトに近づけるということを政府として進めていきたい。そのことで実際の事務は県や市の教育委員会等にお願いせざるを得ないということの中で、できるだけ放射線量を下げるための有力な手段として土壌の広い意味での改良があり、そのことについては国としてもできることについて最大限県や市と協力した上で進めていきたいということで様々な相談、調整をしているところだ。今の段階で具体的に何か決まったという報告は受けていない」

 【校庭の土壌入れ替え】

 ――上と下の土を替えるとか、土をどう処理するかの支援を福島県から求められているが、具体策を近々提示する考えはあるのか。

 「考えを提示というよりはご相談の中でいろいろやっていく話かなと思っている」

 ――福島県側から校庭の土の問題で国側が費用全額を負担してほしいとの要望が出ているが。

 「まさにそういったことを含めて県等の要望と、実際にそういう作業等をどういう段取りで進めていって、どういうふうな効果が上がっていくのか等について、いろいろな相談をしている状況だ」

 【内閣法改正】

 ――閣僚増員を当面お願いするとのことだが、震災対応にメドがつけば17人に戻すのか。

 「少なくとも今回、国会に審議をお願いする法律案は震災対応についての3月11日以降生じた必要性が解消された時点で17人に戻すということの法案をお願いするということだ。それと、今回取り下げることになった法律案について、将来どうするかというのは別次元で考えることだ」

 ――取り下げた法案をあらためて出すタイミングは。

 「少なくとも震災対応について一定の区切り等がつけられる段階までは少なくとも、今回取り下げをさせて頂くという異例のことをお願いするわけなので、まさに震災対応に全力を投入するということだ」

 【東京電力の賠償】

 ――原発事故の損害賠償スキームだが、東電以外の電力会社に政府方針の決定前にスキームを説明して了解を得る作業はするのか。

 「これについては、いろんな報道がなされているが、まだ政府としての考え方を決めてはいない。政府としての考え方が決まったら関係する皆さんにはいろいろお話をしなければいけない。政府としての考え方が決まってもスキーム自体はすぐにスタートするわけではない。考え方を決めた上で、必要があれば関係者の皆さんにご理解を求める作業は生じてくると思う」

 ――政治主導確立法案の取り下げの手続きは。

 「基本的には新たに提出する法案の閣議決定とセットになるか、それとも、先に取り下げて提出の手続きをとるかは実務的な話なので、そこまで私自身把握していない。遅くとも同時でないといけないと思っている」

 【給与返納】

 ――昨日、総理が給与の一部返納を言ったが、長官はどうする考えか。

 「心情的にはいろいろな個人的に思いはあるが、総理及び海江田経済産業大臣が今回そういった判断をされた趣旨は、直接的にラインとして原発政策、原子力政策、あるいは今回の事故についての直接的なラインとしての権限をもっている立場として一定の姿勢を示したいという趣旨であると承知していて、私の個人的な心情は別として、そのラインのところでけじめをつけたいというお二人の意思は尊重したい」

 ――海江田大臣から東電に対する確認事項のなかに、「すべてのステークホルダーに協力を求める」との文言があるが、具体的に株主に対してどういう協力を求めるのか。

 「これは気を付けないといけないと思っているが、政府として直接に協力をお願いをする立場ではないと思っているが、当然こうした事故を生じた東京電力の経営、形式で言えば取締役会として自主的にご判断をされた上で、関連するステークホルダーの皆さんのご協力を求めて頂くと。それについてはしっかりと政府に報告頂いて、国民の皆さんにもご報告するという建て付けを考えている」

 【普天間問題】

 ――普天間問題で、日米合意の中に2プラス2で普天間の代替施設の配置、工法を決めるとの文言がある。一方沖縄は県外移設を求めると言っている。政府として沖縄の意向と、2プラス2で決めないといけないことと、どちらを優先させるか。

 「両立させるべく最後まで努力をしたい」

10/05 枝野官房長官の会見全文〈10日午前〉

2011年5月10日12時42分

 枝野幸男官房長官の10日午前の記者会見は次の通り。

 【冒頭】

 「閣議での大臣発言として、外務大臣および環境大臣から生物多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生じる利益の公正かつ公平な配分に関する名古屋議定書の署名について。蓮舫大臣から平成23年春の交通安全運動及び交通事故死ゼロを目指す日について。中野国家公安委員会委員長から平成23年春の全国交通安全運動の実施について。私から彬子女王殿下の英国旅行について、申し上げた」

 「閣僚懇談会においては、中野大臣から拉致被害者の家族会等主催による国民大集会等について。私から通常国会後の各府省幹部人事について。玄葉大臣及び与謝野大臣から政策推進のための全体指針案について発言があった。私から閣僚懇談会で申し上げた各府省幹部人事の件について報告する。東日本大震災への対応に万全を期すため、通常国会後の各府省幹部人事の人事異動については、震災対応に支障が生じないよう必要最小限のものとすべく、各大臣の協力をお願いする旨発言した。能力、実績を前提とした適材適所の人事運用を行うことは当然であるが、今時の幹部人事については定年退職に伴うものや健康上の理由等やむを得ないものは除き、順送り的な人事は慎むと共に震災対応に支障がないか、あるいは復旧・復興といった震災対応の強化につながるかなどの観点から必要性をよく吟味するよう各大臣に検討をお願いした。この方針を踏まえて、各府省事務次官、局長その他の幹部職員の人事について内閣の承認を行うこととしている。本日は閣議前に経済情勢に関する検討会合、それを踏まえて閣僚懇談会について、政策推進のための全体指針について議論を行った。これは震災復興については復興構想会議で議論をいただいているが、財政・社会保障あるいは新成長戦略等の課題について、この震災という事態を踏まえた再始動に向けた方針を提示するものだ。本日の閣僚懇談会で各大臣から様々な意見が提示されたので、それを踏まえて与謝野大臣と玄葉大臣においてさらにその内容について精査していくことにしている。なお、閣僚懇談会に先立つ経済情勢に関する検討会合の詳細は、すでに与謝野大臣から報告されているものと思う」

 【幹部人事】

 ――幹部人事は基本的には次官、局長クラスは、よほど理由がないかぎり今回は交代しないということか。

 「言った通り、もちろん定年とか健康上の理由等やむを得ない理由はあると思うので、硬直的には言わないが、基本的には動かさない方向で検討を頂きたいということだ」

 ――幹部人事とは局長級以上なのか。課長級とかは。

 「内閣の承認の対象となる範囲ということだ」

 【浜岡原発】

 ――浜岡原発停止の評価とそれに伴う電力供給不足への対応は。

 「総理の要請を重く受け止めて頂き、安全を最優先するという姿勢で停止を迅速に意思決定頂いたのは深い敬意を表したいと思う。電力の安定供給については、政府としても最大限の支援をしたいと思う。それに関連して中部電力以外はもちろん、東京、東北は別だが、電力会社へのご協力のお願い等についても、政府からも申し上げないといけないかなと思っている」

 ――電力需給対策本部での議論になってくるのか。

 「当然ながら、この要請をするにあたっては全体としての特に東京、東北の需給の問題についての影響を検討、考慮した上でこの要請をしている。さらに今後の様々な状況に対応をしてしっかりと電力需給に問題ないように進めて参りたい」

 ――国民に対して節電で求めることは。

 「電力需給のチームで今夏の特に東京、東北管内を中心とする節電についての様々なこの間の調整を最終的な整理を今、しているところだ。それを発表する際に、改めて国民の皆さん、これはもう東京、東北管内に限らずご協力をお願いしたい。具体的にはどういった形をしていけば、節電になるのかということについてのできるだけそういう提示も含めて最終的な検討をしている」

 【復興基本法案】

 ――復興基本法案の閣議決定は今日中か。

 「まず与野党でのお話を幹事長あるいは亀井国民新党代表がして頂いていることについての状況というか、その報告をまだ受けていないので、その上での話だ」

 ――決定が今日中の可能性もあるのか。

 「ここは実際にお答えが返ってきた段階で考えて決めたい」

 【2プラス2】

 ――閣議の後、外務大臣、防衛大臣、総理と残って話をしていたが。

 「2プラス2の時期等をそろそろ考えていかなければならないということを含めて、状況の報告を外務大臣から頂いた」

 ――結論は出たのか。

 「いいえ、そういう段階ではない」

 【浜岡原発】

 ――日本経団連の米倉会長が記者会見で、浜岡原発の運転中止を要請したことについて、その過程がブラックボックスだと批判していたが。受け止めは。

 「米倉会長のご発言については直接うかがっていないので、コメントは避けたいと思っている。その上で、様々な今回の経産大臣、総理の決断を踏まえての経産大臣からの中部電力に対する要請については様々なご意見はあるんだろうと思う。しかし、最終的に万が一事故が起こった場合の国民の皆さんの安全を確保する責任を負っている内閣総理大臣、あるいは経産大臣という立場からは一定の批判があったとしても、国民の皆さんの安全を最優先して責任をもって判断するということは私は当然のことだろうと思っていて、やはりそこは万が一の事故があった時に、誰が責任をもって国民の生命、健康を守るのか。その責任感の問題だ」

 ――見えないところで議論されていたことに対しては、どう考えるか。

 「議論のあり方、仕方については様々な考え方あろうかと思うが、様々な意見を踏まえて、経産大臣として、総理大臣の意思を踏まえて中部電力に要請をするという結論と、その結論の背景になっている国民の生命、健康をしっかり守るという責任ということの中において、その議論の経過ということについてのご批判は、ちょっと私にはあまりピンとこない。その結論自体に異論がある方がいらっしゃることについては私は当然、様々な意見あるんだろうと思うが、まさに権限というか所管をしている経産大臣と、まさに国民の万が一の事故の場合の国民の生命、健康に責任をもっている総理大臣が様々な意見も踏まえた上で政治決断をしたということ」

 ――総理の要請には法的根拠がない。原発を停止できるような法的権限をもつような法改正の必要性については。

 「いつも申し上げているが、原子力政策全般のあり方については、今回の事故の検証を踏まえて、しっかりとゼロベースで議論すべきだと思っている。そうしたことの中で、いま指摘頂いたことも議論のテーマになりうるのかもしれないと思っている」

 【復興基本法案】

 ――復興基本法案について、玄葉政調会長を通じて野党の意見も聞いてきたと思うが、閣議決定をする上で、政調会長を通じて野党から出たアイデアはどの程度採り入れるつもりなのか。

 「それについても、まさに与野党間の様々な努力を党においてして頂いている結論を踏まえた中で最終決定をするということだ」

 【東電社長との会談】

 ――この後、東電の清水社長との会談がある。政府からどんな話をするのか。会談は東電側からの要請か。

 「私がうかがっている限りでは、東京電力からご要請があるということで、それを承ると聞いているので、ご要請を受けた上で何を申し上げるかということが初めて決まる」

 【災害緊急事態】

 ――災害緊急事態について、今回の震災では、野党側から国会を休会にするとの提案もあった。休会にして、緊急事態を布告するという選択肢はなかったのか。

 「法律を理解頂ければすぐ分かることだが、この法律の緊急事態の宣言というのは、国会で立法ができない場合であっても、それに代わる立法ができるようにすることに意味があるものなので、この緊急事態を宣言するために国会を閉じたりして、立法ができない、本来の立法ができなくするというのでは本末転倒ではないでしょうか」

 ――そのような判断を震災発生当初の段階で総理や長官がしたのか。

 「判断以前の問題で、本末転倒じゃないですかということだ。国会が動いていない時でも立法ができるようにという規定を国会が開いている時にわざわざ緊急事態を発するために国会で立法できないようにするというのは、まさにパフォーマンス。それをやったらパフォーマンス以外の何ものでもない」

 ――災害緊急事態を布告して、それに伴って政令が定められるが、その政令がなかったことで不足は生じなかったのか。

 「まったくない。必要があれば国会に立法をお願いすれば、必要なものならすぐに多分、ご承認で法律をつくれた状況だったと思っている」

09/05 枝野官房長官の会見全文〈9日午後〉

2011年5月9日20時53分

 枝野幸男官房長官の9日午後4時過ぎの記者会見の内容は次の通り。

 【浜岡原発の停止要請】

 ――中部電力から返答はきたか。

 いや、まだ私の所には別に何もきていない。

 ――今日中に返答がくる予定は。

 別にそういうことについても何もきていない。

 ――首相と中部電の幹部会合は、今日やっているのか。

 少なくともそういう話は聞いていない。

 ――長官としては、今日中に回答が出ることを期待しているか。

 最終的には国民の安全にも関わることとして、総理から要請しているので、しかるべく結論を出して頂きたいと思っている。早い方が望ましいとは思っているが、それは取締役会としてのいろんな検討準備も必要だと思っている。できるだけ早いことを期待するということで、具体的にいつまでにということを今の段階で求める必要はない。

 ――結論が出た際、記者会見をしてもらいたい。

 たぶん経済産業大臣が何らかのコメントをする。

 ――官房長官が会見してほしいが。

 う~ん、たぶん、基本的には経産大臣からでいいんじゃないかと思う。

 【他の原発への波及】

 ――佐賀県の玄海原発など、現在運転が止まっている原発を再開する際はどう臨むか。

 基本的には緊急安全対策の内容や実施状況を国として確認して、その上で地元の意向も踏まえながら検討することになる。

 ――佐賀県知事は国が緊急安全対策で適切と判断したかの説明を聞きたいと言っているが、国から説明する考えは。

 その知事からの要請は私の方には来ていないので、少なくとも事業者からは、こういう安全対策をして国からこういう評価をもらっているというようなことについて少なくとも、事業者はきちっと説明せざるを得ない。国が直接どういう形で関与するかは経産大臣と相談したい。

 ――浜岡原発の停止要請の理由の説明がないと地元の不安感が高まるが、他の原発立地自治体に説明しないのか。

 自治体に限らず国民の皆さん一般に繰り返し、場合によっては経産大臣から、さらに詳細な報告と説明申し上げなければいけないと思っているが、基本的には大きな巨大地震の来る可能性の圧倒的な高さということが他の原発とは決定的に異なっていることを前提に判断した。このことは関連の自治体はもとより国民にしっかりと説明していかなければいけないと思っている。

 【原子力政策の検証委員会】

 ――原子力政策は今後の検証を待って判断するということだが、その検証委員会の立ち上げはいつか。

 できるだけ早く立ち上げて検証をして頂こうと考えて、その準備は始めている。

 ――首相は5月中旬には立ち上げると言っていたが。

 中旬というのを若干幅を持って頂いた方がいいとは思うが、その中旬を目標に準備を進めている。

 【災害対策基本法の改正論議】

 ――今回の震災で、災害対策基本法105条に基づく布告をなぜしなかったのか。

 災害対策基本法に基づく災害緊急事態を布告した場合の効果は一点で、国会が閉会中、または衆院が解散中であり、かつ、臨時会の召集を決定し、または参院の緊急集会を求めて、その措置を待つ暇がないときは政令を制定することができると。これが唯一の効果だ。今回は国会が開会中だったので布告をしても、何の法的効果がない布告になる。このことを踏まえて布告をしなかった。

 ――緊急事態を布告すれば、物資輸送が円滑にできたのではという指摘があるが。

 少なくともこの法律に基づいても国会開会中は勝手に政令を出すことできない。布告を出そうが出すまいが同じことだ。

 ――今回を教訓に、災害対策基本法を改正する考えは。

 広い意味では今回の災害対応は反省点、問題点がなかったか、しっかりとフォローアップしなければいけないと思っている。その結果について今から予断を持って申し上げるべきではないと思うが、特にこの災害緊急事態のような話の問題よりも、あらかじめどういう準備をしておいて、あらかじめどういうオペレーションを決めておけるのかということの方が重要ではないかと思っている。

 例えば、ガソリンについては、こういった対応の時に、どういったルートで輸送するのかとか、ガソリンスタンド自体、給油所自体が被害を受けて使えないときにどうするのかという、こういった実務的なオペレーションの想定をしっかりしておくことの方が本質的な問題だ。

 ――布告は官邸で検討はしたのか。

 検討して、国会開会中なので布告をしても法的効果が全くないということがすぐに確認された。

 【義援金の配分】

 ――義援金の給付が遅れているが。

 今の点も含めていろんな仕組みや制度が、市町村に役割を担って頂くという制度になっているものが少なからずある。これはそれぞれの被災状況によっては市町村役場自体が被災して、あるいは役場職員自体が被害にあって行方不明や亡くなられたり、なかなか万全の対応が取れない自治体が少なからずある。

 これに対し、国からも直接自治体に応援を出したり、あるいは市長会など、全国の市町村の協力を頂き、総務省がコーディネートして、他の被災を受けていない市町村から応援に行ったり、あるいは県から市町村を応援して、その分を国が県を応援したり、様々な形で応援しているところだ。

 ただ、個々の住民と直接接して、地域事情その他を十分に承知認識されている方と、応援の方では、できる範囲にも違いがあるし、それぞれ自治体ごとに仕事の仕方も違う。いきなり行って、もともとの地元の方と同じように力を発揮してもらうには若干の時間かかるとか、残念ながら様々な事情があって、自治体ごとにスピードに違いがある。当該自治体の住民の皆さんには大変申し訳ない話だが、最大限応援態勢を強化する中で、できるだけ遅れた自治体が出てこないように、さらにフォローアップして参りたい。

 【復興基本法】

 ――復興基本法の見通しは。

 今、党の方で最終的に各党との話の結果をそう遠からず整理して頂けると理解している。

 ――野党の扱いは。

 党の方で野党との関係を相談しているのでその結果を、できれば明日には閣議決定したいという私の方の希望は伝えている。その通りになるかは別として、私からの希望を踏まえた中で岡田幹事長をはじめ対応して頂いている。

 【沖縄振興】

 ――北沢防衛相が沖縄訪問した際、震災に関係なく沖縄振興したいと言ったということだが。

 私も全く同じ思いだ。もちろん震災の影響で、様々な財政的にはいろいろな所に影響を及ぼさざるを得ない部分が少なからずあると思っているが、一方で沖縄の振興については様々な歴史的な経緯も含めて、ここについてはしっかりと万全の措置を取っていきたい。特に、沖縄担当大臣としては思っている。

06/05 枝野官房長官の会見全文〈6日午前〉

2011年5月6日15時55分

 枝野幸男官房長官の6日午前の記者会見全文は次の通り。

【冒頭】

 「私から2点報告する。本日の閣議で人事案件として叙位、叙勲が決定した。引き続き、東日本大震災関係の政府組織について総理の指示に基づき整理を進めてきたが、原則として5月9日付でお手元の資料の通り整理をすることとしたので報告し説明する。政府においては東日本大震災への対応に万全を期するため、緊急災害対策本部と原子力災害対策本部をそれぞれ設置してきた。これはいずれも法律に基づき設置が義務づけられているものだ。この二つの本部を基本として、避難者の生活支援や原発事故に伴う補償など個別の重要課題にかかわる対策の実施組織を必要に応じて設けてきた。一方、これら実施組織においても本部という名称を用いたり、あるいは相互の関係が不明確である等との指摘を受けたことから、組織が複雑で指揮命令系統が適切に機能してないではないかといった危惧(きぐ)を頂くに至った。こうした危惧を払拭(ふっしょく)をすることと震災から2カ月近くが経過をし、復興に向けた取り組みも必要になるなど状況も変化をしていることから、こうした組織を改めて整理をした。今後は、従来の二つの本部、緊急災害対策本部と原子力災害対策本部、そしてこれに復興対応のための組織対策本部を設けて、この三つの対策本部を基本にそれぞれのもとに各組織が存在し、総理のもとで明確な指揮命令系統のもとで動いているということをわかりやすくお伝えをしたい」

 「具体的にいくつかポイントを言うと、被災者生活支援特別対策本部と原子力発電所事故による経済被害対策本部についてはメンバーを固定せず、活動がより機動的に行えるチーム制に改組する。また、事実上の組織である福島原子力発電所事故対策統合本部については政府・東京電力統合対策室に改組して政府における位置づけを明確にする。電力需給緊急対策本部については、近く予定している夏季電力需給対策策定後に電力需給に関する検討会合に改組する。お手元に資料があるかと思うが、それぞれのトップが総理である対策本部のもとの、今回名称変更・整理をするチーム等においては会議体が目的ではなくそれぞれの事務局の体制をそれぞれ付記しているが、各省横断的に各省からえりすぐりのメンバーに集まってもらってチームとして作業を進める。それぞれの責任者たる大臣あるいは副大臣等の位置づけを明確にするといったことで従来もやってきたが、改めてこうした図にすること、そして名称を整理することにおいて十分な理解を頂ければと思う」

 【組織改編】

 ――組織改編は「本部」と「チーム」と「室」に三つに分かれたようだが、それぞれの概念は。

 「明確に定義があるわけではないが、まず本部については法律に基づいてこうした緊急事態に対応して設置を義務づけられているものは、それぞれ対策本部ということになっている。従っていずれのチーム等もこれらの対策本部のもとでそれぞれの役割を果たすための組織として位置づけられている。本部という名称はそれぞれ法律に基づき設置されるところに改組した方がわかりやすいと。そこのもとでのそれぞれの組織が動いているんだと。ちなみに被災者生活支援については、従来特別本部という名称だったが、チームの名称に変わるから軽視をするとかいう意味では全くないことは念のため申し上げたい。緊急災害対策本部のもとで特に大きなまとまりを持ってしなければならないひとくくりの仕事が生活支援ということで、従来と同じ位置づけだ。チームと室の使い分けは、大きな原則としてはチームについては各省横断的にそれぞれの役所から相当な人員を出してもらい、大きなまとまりとして省庁横断的に作業を進めていくところについて主にチームという名称で整理している。室については省庁横断的な部分はあるが、大変大きな事務局チームではなくて、ただ少し独立性をもったというか、位置づけをはっきりとさせた役割を整理して位置づけるべきだというものについて室というのを使っているのがだいたいの大きな概略だ」

 ――総理がトップを務めるのは、新たにできる復興組織含めて三つの本部だけになるのか。

 「基本的にはそうしようと思っている」

 ――今回の本部改編は名称を変えただけではないか。

 「従来からいろんな指摘を頂いているが、何か会議が踊っているわけでもないし、指揮系統が混乱しているわけでもない。ただ、それぞれの名称とかそれぞれの関係が整理されていなかったということから、そうした誤解を招いたと思っている。きちんと整理をすることで従来から決して会議が踊っているわけでも、指揮系統が不明確だったわけでもないということをわかりやすく整理をしたものだ。逆に何か特別大きくものが変わったというわけではない」

 ――今回の改編で統廃合された組織はあるのか。

 「今回の整理で統廃合という感じはない。あえていえば被災者生活支援チームのもとにいくつかの検討会議、これもまさにその都度適宜必要なテーマについて必要な省庁の皆さんに集まって頂くということでまさに適宜やってきている。これは今後も必要なテーマがあれば関係する省庁の関係者に、被災者生活支援チームのもとで集まって頂いて検討して頂くことはあり得る。ここにあったいくつかの検討会議はいったん整理をしていることにはなる」

 【円高】

 ――海外市場で一時、円相場が1ドル79円台になった。この傾向を政府はどうみているか、再び介入に踏み切る可能性はあるか。

 「大変注目してみているところだが、今の段階で政府として何かコメントする必要はない」

 【食中毒問題】

 ――焼き肉店の生肉食中毒問題について、かなり被害が広がっているが、政府の対応は。

 「これは刑事事件としても捜査を始めていると聞いている。その上で国からは疫学の専門家、国立感染症研究所から派遣をしている。都道府県知事あてに生肉についての指導基準に適合したもののみを提供するよう指導監視を強化するよう通知している。さらに対応が必要であるかどうかは検討を始めている」

 ――これまでの生肉の規制は十分だったか。

 「結果的にこうした事件になっているわけで、その点を含めてしっかりと検討する必要がある。それを待たずに、まずは現在の指導と監督を強化するよう通知をしたところだ」

 ――厚生労働省が、今までの基準が業界の慣習などもあってあいまいだった、と。罰則基準を新たに設けるようなことを検討しているようだが、食品衛生法に基づく罰則基準の強化の検討状況は。

 「まさに今のような点も含めて早急な検討が必要だということで、その検討に入っている。現時点で結論の方向性を明確に申し上げる段階ではないかなと思うが、現にこうした事件で命をなくされる方もいらっしゃるので、しっかりした実効性をもった対策が必要だろうと思っている」

 ――焼き肉店ではユッケ販売を自主的にやめる店も出てきたり、一般の人もユッケを食べて大丈夫なのか不安が広がっているが、その動きについてどう思うか。

 「詳細は厚労省にお尋ね頂きたいが、現時点で従来の生肉についての指導基準に適合したもののみを提供するよう指導と監視を強化するということなので、これによって結果的に生肉の提供ということが法律、基準に基づけば、事実上ほとんどできないはずだと承知している。この辺の指導監督をどのように強化するのかの詳細は厚労省にお尋ね頂きたい」

 ――枝野さんも焼き肉は好きだと聞いているが、ユッケはこれから食べるか。

 「私も従来の指導基準というのを承知していなかったので、指導基準に適合したものがあれば私も嫌いではないが、そこの点についてしっかりと確認をしたいと思う」

 【ウィキリークス】

 ――ウィキリークスから出た情報として普天間についての報道があったが、事実関係は。

 「不正な方法によって外交上の秘密と称せられる文書が公開されたことは極めて遺憾だが、今回報道されている米国の外交文書とされる文書について、米国政府も同様であると聞いているが、日本政府としてもコメントも確認も一切しないこととしている」

 ――日本政府は海兵隊を8千人に削減するとのことだったが、今回の報道では実質3千人の削減だと。移転経費の日本側比率も増えるとの指摘もあり、事実なら費用対効果や計画の意義も変わってくる。国民が疑いを持っているなら、政府として事実確認をする責任があるのでは。

 「当該文書についてのコメントと確認はしないということで日本もアメリカも政府としての考え方は一致している。ただ、個別の我が国の外交政策等について、この文書とは別にきちっと説明しなければならないことは説明しなければいけないと思っているが、この文書についてはコメントしない」

 ――国民の知る権利もあるし、国益にかかわることなら、事実関係は確認するべきなのでは。

 「当該ウィキリークスから出ている文書全体についてコメントも確認もしないと申し上げている。一般的に外交についても国民の皆さんに当然説明すべきところは説明するべきであると思っているが、当該文書の内容について確認をすることについては致しませんということで統一している」

 ――その報道に国民が疑義をもっているなら、ウィキリークスが情報源かどうかは別として、確認する必要があるのでは。

 「ウィキリークスについて聞かれたら同じ答えだ。ウィキリークスについてでなく、聞いて頂ければ説明すべきことは説明するが、ウィキリークスについて聞かれても今のお答え以外はできない」

 ――米国では公電はいずれ公開されると思うが、米国の公文書として公開された時に日本政府として初めて内容を確認するのか。

 「その時に同じものが出てくるのかどうかを含めてコメントしない」

 ――内容はすでに報じられている。沖縄の基地問題への記述がたくさんあった。沖縄からみると日本政府や官僚に不信を募らせる内容。今後の基地問題への影響は。沖縄県知事はなぜ辺野古に決まったのか説明してほしいと求めているが、県民に対しての説明責任は。

 「菅内閣としてはこの辺野古の問題については日米合意を踏まえながら、沖縄の皆さんの理解を得るべくさらに努力をしていかなければいけないと思っている。特に基地による負担軽減に向けた歩みをしっかりと着実なものとして示していきながら、この辺野古への移設について、いま指摘頂いた、なぜ辺野古なのかについての説明もさらに丁寧に詳しくしていなかなければいけないと思っている。なかなか様々な経緯等から沖縄の皆さんの理解をただちに得るのは難しいということは十分承知しながら、しかしながら、だからこそ丁寧に理解を求める努力をさらに進めてまいりたい」

 【東京電力の賠償問題】

 ――電気料金の値上げを政府内で検討しているのか。

 「政府と言った時にどこまでが政府なのかという話はあるが、少なくとも閣僚レベルでそういった話、具体的な話はまだ全くしていない。また、今回の賠償についての費用負担については、まずは東京電力の自らの努力というものが最優先になされなければいけないと思っていて、それがしっかりとなされた上でなければ、それ以外の方法によることは、そもそも東京電力の電力を利用している皆さんにとっても納得を頂けるものではない」

 ――東電の自主的努力を見極めないと判断できないということか。

 「私はそれが当然だと思っている」

 ――まだ十分なものが出ていないと。

 「おそらく、いま表にいろいろと報道されている、確認されているものはもとより、報道されているレベルで考えても、当然、東電の電力の利用者の皆さんが納得できるようなものではない」

 【警戒区域の一時帰宅】

 ――警戒区域の一時帰宅のメドは。

 「いわゆる予行演習という形で自治体の職員の皆さんなどにお入り頂いた。実際に住民の皆さんと対応される自治体の皆さん、そうした皆さんを通じた住民の皆さんの様々な要望に具体的にできるだけおこたえしながら進めていくということで、この3日の予行演習も踏まえて、自治体と現地対策本部とで鋭意調整を進めてもらっている。できるだけ早くやりたいという思いは一貫しているし、予行演習という形でも一部入って頂いているという状況なので、後はまさにオペレーションがうまく組めるかどうかという段階に入っている」

 ――来週以降とか、メドは。

 「まさに一定のメドをこれまでも申し上げてきたわけだが、実際に協力を頂く自治体の皆さんとのある意味でのお互いの納得の上で進めていかないと、実際には実現できないという中にあるので、国としては一刻も早く要望に応じて始めたいと思う一方で、実際のオペレーションを行う、そこに協力を頂く市町村の皆さんとの合意なく見通しを、ここまでギリギリの段階で申し上げるのはかえって自治体の皆さんに申し訳ないと思うので、もうちょっとお待ちを頂ければと思う」

 ――オペレーションで一番の問題点は。

 「実務的にいろんなことが出てきていると聞いているが、これは当初より予想されていることでもあるが、実際に防護服等を着て中に入られていろんな作業というか、して頂くことはかなり大変な作業になるということと、住民の皆さんの要望としては、例えば高齢の方とかも含めて、できるだけ自宅に行きたいという要望があるということとの兼ね合い、それと安全性との兼ね合いが現場においては自治体の職員の皆さん含めて苦労されていると承知している」

 【組織見直しその2】

 ――緊急災害対策本部で、総理は共通認識が不十分だったと発言してが、具体的にはどういうことか。

 「具体的なことというよりも、これは先ほどの組織の整理の話とも関連するが、実はその緊急対策本部のもとに被災者生活支援の特別本部を置いたり、そのもとでも関係省庁集まった事実上のチームをつくったりとかというところで、かなりの部分が実務的に作業を進めてきた。それについては各省とも関連しているところは当然大臣にあげて、報告とかして頂いているかと思うが、直接自分の所管とかかかわっていない部分がどう進んでいるかについては、それこそ会議を踊らせてはいけないので、必ずしも全閣僚の本部の会合はそれほど多くの頻度でやっていないので、具体的に言えば仮設住宅の話について関係する国交大臣や総務大臣はともかくとして、関係しない大臣のところに必ずしも状況を共有しているわけではない。そういった趣旨のことであったと私は理解しているし、そういった意味で改めていろいろと大きな課題については所管でなくても関係閣僚が共有をしましょうという意味でおっしゃられたのだと思う。それで、実際に今日、特に仮設住宅はじめとして、いくつかの大きな懸案については全閣僚の前で懸案事項とか今後の考え方とかを整理したので、そうした共有は図れた」

 【民主党幹部のゴルフ】

 ――民主党の石井一副代表が昨日フィリピンでゴルフをしていた。

 「事実関係自体あまりよく承知していないし、党の立場との関係であれば、幹事長などにお尋ね頂ければと思う」

 ――民主党議員が連休中にゴルフをすることについて。

 「事実関係の詳細も承知していないし、党の立場でいろいろ仕事をされているので、内閣の官房長官という立場からは個人的な感想はあまり申し上げるべき立場ではないんじゃないかと思っている」

 【組織見直しその3】

 ――対策本部の整理の話だが、閣僚から意見あったのか。

 「2点だけあった。1点は、本部がチームに変わると軽視をしているとの誤解を招くことが心配だ、ということ。私も当初から危惧をしているところで、今まで通り、今まで以上に、特に生活支援の特別対策本部については100人超える事務局態勢で作業を進めてきている。この体制はさらに強化していくということだ。もう1点は、被災者生活支援チームと原子力被災者チームについて連携強化し、場合によっては一体化含めて考えたほうがいい、との指摘もあった。連携強化は進めていきたい。一体化までするのがベターなのかどうかは私の方が引き取って検討していくと答えた」

 【がれき処理】

 ――がれき処理をいつまでやるのか。一部報道では8月末までに撤去するとの工程表があるということだが。

 「私はその報道の中身については承知していない。出来るだけ早くと思っているが、政府だけで出来ることと政府だけで出来ないことがある。がれき撤去の費用については、昨日も宮城県知事からも要望があったので、持ち帰って何とか対応したいと答えているが、物理的にがれきをいつまでに処理出来るのかというのは、がれきの一時的な受け入れ場所の問題とか実際に仕事を発注する自治体の対応もある。そういうところにも最大限努力して頂く中で見通しを立てていかなければいけない」

 【東京電力の賠償その2】

 ――東電賠償だが、政府方針を決めるにあたり東電の決算発表、監査、与党との調整を考えると、この金土日に固める必要があるが。

 「与党との一定の相談はしなければいけないと思っている。決算絡みのことについては認識しているが、それに縛られるべきかどうか自体も検討の対象だ」

 ――監査の猶予期間を使うということもあるのか。

 「決算の時期とかそれにまつわる手順の時期については十分認識しているが、それが絶対的に縛られなければいけないかどうかというのはそれはまた一つの議論だろう。いろんな意見があり得るだろう」

 【小沢元代表】

 ――小沢元代表が政府の原発対応について「来週から声を大きくしていきたい」と述べたが。

 「いろんな立場の方がいろんな意見があるのだろう」

02/05 枝野官房長官の会見全文〈2日午後5時半〉

2011年5月2日22時36分

 枝野幸男官房長官の2日午後5時半の記者会見の内容は次の通り。この日、午前の会見は行わなかった。

 【第1次補正予算の成立】

 閣議後の閣僚懇談会では、閣議において補正予算が成立、そして関連する法律等公布などの手続きを行ったものだが、被災者に対する支援のためこの執行に万全を尽くすように、さらには復興構想会議において大きな復興のビジョンについては検討を頂いているところだが、この1次補正が通ったことで気を緩めるのではなくて、さらに被災者の支援に向けてあるいは復旧、場合によっては復興にあたるような部分でも先行してできることはないか、やるべきことがないか、それぞれしっかりと仕事を進めて欲しい旨の総理からの指示があった。

 【菅首相の避難所訪問】 次に、総理の避難所訪問について報告する。総理は5月4日水曜日の午後、日帰りで車両にて埼玉県加須市にある旧埼玉県立騎西高等学校を訪問し、同所に避難されている福島県双葉町などの避難者の方々の慰問を行うとともに双葉町長、埼玉県知事、加須市長と意見交換を行う予定だ。

 【ビンラディン容疑者殺害を受けた首相談話】

 次に本日、日本時間の12時35分、オバマ米国大統領が会見を行い、米国同時多発テロなどの首謀者であるオサマ・ビンラディン氏が殺害されたと発表した。本件に関して、菅内閣総理大臣の談話が出されたので報告する。

 本日、オバマ大統領は、米国同時多発テロその他数多くのテロ事件の首謀者であるオサマ・ビンラディンが殺害されたとの声明を発表した。

 本件は、米国を始めとする各国が、国際テロの防止と根絶に向け、長期にわたり一致団結してテロとの戦いを行ってきた結果である。我が国としても、これまでアフガニスタン及びパキスタンに対する協力をはじめ、テロの脅威への対処に積極的に参画してきたところ、今回のテロ対策の顕著な前進を歓迎するとともに、米国やパキスタンをはじめ、関係者の努力に敬意を表する。

 オサマ・ビンラディンの死亡が確認されたが、アルカイダ等のテロリストが根絶されたわけではなく、現在もなおアフガニスタンやパキスタンをはじめ世界各地でテロ事件が発生しており、テロの脅威は依然として深刻である。テロ対策はこれで終わるものではなく、アルカイダの活動状況については今後とも注視し、テロ対策のあらゆる分野において国際社会が緊密に協調して息の長い取り組みを継続していくことが必要である。また、アフガニスタンの安定と復興に向けても、国際社会が緊密に協力して取り組んでいくことが必要である。

 我が国としては、国家、国民の安全を確保するため、これまでも水際対策、国内における警戒警備、在外邦人の安全確保等の徹底に努めてきたところであるが、今回の事態を受けて、情報収集を含め、一層の対策強化を指示したところである。今後とも引き続きテロ対策に万全を期し、国際社会の取り組みに国際社会の責任ある一員として積極的かつ主体的に貢献してまいりたい。(以上、談話)

 なお、我が国政府においては殺害の情報を入手した直後、官邸に情報連絡室を設置した。内閣危機管理監が主催し、関係省庁局長級幹部からなる国際テロ対策幹事会を開催し、関連情報の共有を行うとともに、今後のテロ対策の強化について協議を行った。今後とも国際動向を注視しつつ、国内外における国民の安全確保に万全を期して参りたい。

 【ビンラディン容疑者殺害】

 ――ビンラディン容疑者の殺害については、ホワイトハウスから事前なり事後なり連絡はあったのか。

 オバマ大統領による本件声明と同じタイミングで米国から我が国外務当局に対して連絡があった。その際、これまでの日本政府の協力に対する謝意の表明があったと聞いている。

 殺害を受けて日本政府のアフガン対策や対テロ戦争における方針に変化はあるか。

 総理の談話にもある通り、基本的な考え方について変更がなされるものではない。

 ――オバマ大統領の声明と同じタイミングというが、12時35分前後に米国のどこから外務当局に連絡があったのか。

 外交当局間の連絡だ。

 ――ビンラディン容疑者の殺害について、殺害の状況について米国から情報はあったのか。

 特に私のところに報告はない。

 【国内のテロ対策強化】

 ――国内のテロ対策は、どう強化するのか。

 テロの脅威は依然として深刻であると認識している。総理の談話にもある。安全確保のために情報収集、水際対策、警戒警備、在留邦人、海外に在留している日本人の安全確保などの諸対策に万全を期したい。官邸に情報連絡室をおいて、内閣危機管理監のもと、関係省庁の局長級幹部で情報の共有とこれら対策の徹底を確認したところだ。

 【ビンラディン容疑者殺害その2】

 ――殺害における軍事行動、武力行使についての法的位置づけについて、日本政府としてどう評価するか。

 総理の談話にもある通り、テロ対策が顕著に前進をしたことについて歓迎をしている。

 ――殺害を受けてさらに情勢が複雑化したり、テロが悪化するという懸念もあるが。

 この状況の変化、テロ対策としては顕著な前進であるのは間違いないと思うが、このことによる影響についてはしっかりと注視をしていかねばならない。特にアルカイダの活動状況については、しっかりと注視していかねばならないと思っている。

 ――連絡があったのは12時35分でいいのか。

 時計で確認したわけではないかと思うが、本件声明と同じタイミングということで報告を受けている。

 ――殺害を受けて、円安ドル高と日本の株高の評価について。

 マーケットの特に大きな流れについてはともかく、日々の動きについて直接コメントすることは避けたほうがいいと思っている。

 ――報復テロの可能性はどうか。

 いずれにしても、状況がこのことでテロの脅威がなくなったということではない。今指摘された点などの可能性も含め、まさに緊張感を持って注視しなければならない。それゆえに官邸に情報連絡室を設置して関係省庁の情報の共有を図ったということだ。

 【第2次補正予算】

 ――1次補正予算が成立した。本格的な復興に向けた第2次補正予算の編成作業に入るが、野党からは速やかな編成と今国会中の提出を求める声もあるが。

 2次補正をいつ出すのかということ以前に、状況に応じて日々復旧あるいは被災者の生活支援、あるいは復興に向けた序章というか助走というか、こうしたことのニーズ、これに対して国としてやらなければならない仕事ということについては、日々補正予算成立前から日々続けている。

 補正予算が通ったからといって、これでいったん休みということではない。そうした作業、活動の中から2次補正が必要というか、2次補正として一定のまとまりを持って国会に審議を頂かなければならない状況になれば、遅れることなく提出するということだ。今の段階でそれがいつなのかということを申し上げる段階ではない。

 ――首相は復興構想会議が提言を受けてまとめたいとの話をしている。それより前に補正予算を組む可能性もあるのか。

 大きな復興のビジョンについては、復興構想会議に諮問して議論をお願いしているわけで、それを踏まえて政府としての大きな復興ビジョンを示していくことになる。当然ながらそれに付随して大きな様々な事業が伴って補正予算が必要になるであろうことは想定をされる。

 一方で、復旧にしろ大きな復興に向けた助走にしろ、あるいは生活者支援も終わっているわけではない。まだまだ重要だ。こうしたことについては日々しっかりと目の前のこともやっていかねばならないわけで、結果的にそうしたものの積み重ねによって補正が必要になる時期と、大きな復興構想会議に基づく復興構想ビジョンに基づいて補正が必要になる時期のどちらが先になるかを、確定的にも申し上げるのは今の段階ではできない。

 ――2次補正の速やかな提出が必要との判断になった場合、国会会期の延長についてどう考えるか。

 仮定の質問なので、その段階で判断する。

 【復興基本法案】

 ――復興基本法案の提出のメドは。

 内閣としてはいつでも提出ができる状況は整えている。ただ、亀井国民新党代表や民主党の岡田幹事長が各党の協力を得た形の基本法にするべく最後の努力を今してもらっているとうかがっている。その努力の結果を踏まえて、いつでも提出できるが、その結果を待って、最終的な判断をしたい。

 ――政府としては、その努力をいつまで待っていられるのか。

 政府として聞かれると、それはもう今日にでも出したいというのが政府の立場だが、与党において野党と相談を頂いているので、それを踏まえてということになる。

 【仮設住宅入居見通し、がれき処理】

 ――予算委員会で仮設住宅入居について首相が「私の見通しだ」と発言したが、政府としてどういう状況にあるのか。

 具体的なところは国交省にお尋ね頂きたい。被災者のみなさんにとって最も大きな今、希望・要望であり、政府として応えなければならない仕事だ。総理の強い意思と総理の見通しに基づいて、国交省において最大限の作業をしてその見通しを実現すべく努力してもらっているところだ。

 ――それは、政府として決まっていないということか。またがれき処理についての見通しはあるか。

 前者については、総理が言った目標を達成するべく、どうやって達成するかという具体的な作業の詰めを国交省中心に、各県の協力を頂かないと出来ないことなので、その作業の詰めをしている。

 がれきについては、一刻も早い処理をと思っているが、これもそれぞれの自治体の状況、行政機関だけではなくて、それぞれのがれきをどこに運んでどう処理するのかという物理的、客観的な事情、状況が非常に多様性を持っている。できるだけ早くがれきの除去を完成させたいという強い思いのもとで、様々な制約要因を取り除くべく努力をしている。

 【震災後の会議再編】

 ――震災、復興の政府会議の統廃合を検討しているが進展は。

 正確に言うと、会議は乱立していない。実際にそれぞれの例えば本部などの会議の開催日数などを見てもらえれば、実は会議はほとんどやっていない。むしろそれぞれのチームを作って、そこに関係省庁の優秀な事務方を集めて効率よく仕事をしてもらうと。その仕事をする上で、政務において誰が責任を持ってそこの部局の仕事を仕切るのかということについて本部長なりチーム長なりいろんな立場で何人かの政務が、責任を持って各省の事務方の作業を促進するという実践チームがほとんどだ。その上で、そうしたことを分かりやすくすることについては、連休中に発表できる。

 ――浜岡原発停止に関し、総理は検討すると述べたがメドは。

 当該原発に限らず、全国の原発の安全性を再チェックすると。さらに強化するという作業を経済産業省原子力安全・保安院から指示を出して、各電力事業者で報告を出してもらったりしている。それに対して、さらに検証、チェックをかけて安全性が確保されるような対応をすると。万が一安全性について不安がある状況がはっきりすればストップするし、安全性が確認されれば運転するしと。まさに、それは安全性の確認作業によって決まってくる。できるだけ早い方がいいと思っている。

 ――長官は自治体の意向も重要だと述べていたが。

 再開については、地元自治体の了承、了解がないと前に社会的にも進まない。運転中の原発については、安全性が確保される確認ができるのかということがやはり最大の要因だ。

 【非常事態の憲法規定】

 ――今回の大震災を受けて、非常事態規定を憲法に盛り込むべきではないかとの指摘が出ているが。

 今の憲法審査会ができる前の国会審議における私の発言の議事録を読んでもらえれば、答えははっきりしている。憲法の議論を建設的なものとして進めるためには、国会で行うべきであって、行政府、内閣が憲法のことについて不用意な発言をすることは建設的な憲法の議論を進めていくためには百害あって一利なしと考える。

 ――憲法審査会が動いていないことについては。

 答えは一緒だ。

 【原発賠償問題】

 ――原発事故の賠償責任の検討状況は。

 まだ検討という段階とは認識をしていない。検討するための材料の収集と整理をして頂いているというか、事務方でしているのを精査している状況だ。

 ――東電の賠償の支払額に上限はないとの認識は、政府内で一致しているのか。

 これは法律の解釈の問題だ。意見が一致するかどうかではなくて、現行法の解釈について問われたのでその解釈について申し上げた。

 【自衛隊の態勢見直し】

 ――震災を受けた自衛隊10万人態勢の今後の見通しは。

 私には報告がないので、防衛省にお尋ね頂ければと思う。

 【B型肝炎訴訟】

 ――B型肝炎訴訟で、原告側が和解案の受け入れを決めた。

 患者のみなさんの立場からは、いろいろな思いがあろうかと思う。ただ、受け入れて頂いて和解が成立する見通しになったということは大きな意味では歓迎すべきことだ。今後は、この和解スキームの進行に向けて、国会の各党にも協力を頂かなければならない問題だ。その協力を受けていくべく努力をしたい。

 【第1次補正予算の成立その2】

 ――1次補正成立の受け止めと、成立が遅かったことをどう考えるか。

 全党賛成を頂いて、復旧を中心とした補正予算を成立させて頂いたことは大変ありがたい。政府としては、この補正予算を執行していくことで復旧を前に進めたい。

 補正の時期については、遅かったとの批判は承知している。もちろん少しでも早い方がいいとの意見も確かにそういった側面もあるが、現実の状況としてはこの間、予備費の執行を含めて補正が通らないことによって、救命や復旧に向けて対応がとれなかったということはないのではないか。必要に応じて適切なタイミングで出した。ただ、被災者の皆さんの受け止める印象も厳しい中におられるので大変重要だ。そうした意味ではより早くできればよかった。その分執行にあたって迅速に進めてまいりたい。

14/05 原発事故賠償―株主や貸手も責任を

 これでは、とうてい納得できない。東京電力福島第一原発の事故を受けて、菅政権が13日に決めた賠償策のことだ。

 電力10社の出資で「機構」をつくり、東電の資金繰りを支援する。政府も公的資金を投じるが、最終的には東電と他の電力各社が弁済するため「国民負担は生じない」という。

 だが、賠償金の支払いや電力の安定供給を名目に、生かさず殺さずで東電を存続させる今回の案は、責任の所在をあいまいにしたまま、電力業界を守り続ける枠組みになりかねない。

 まず、株主や金融機関に負担を求めないのはなぜなのか。

 確かに、株価下落や無配転落で株主は一定の損を被る。金融機関についても、政府は債権放棄がなければ公的支援はしないとの揺さぶりをかけ、協力を引き出す構えだ。

 だが、実質的に経営破綻(はたん)の企業を公的に救済する以上、必要な減資や債権放棄は枠組みの中できちんと位置づけるべきだ。

 東電に対する責任の負わせ方も、小手先にとどまっている。

 政府は、第三者委員会を設けて東電の資産や経費を洗い出し、極力賠償にあてるというが、今浮上している人件費の圧縮や5千億円程度の株式・不動産の売却では焼け石に水だ。

 賄い切れない分は東電の収益から返済させるのだが、事故処理費用などで赤字経営は必至の中、電気料金の値上げも認めず、となれば弁済を繰り延べるしかない。そのぶん、不健全な公的管理が長引くことになる。

 むしろ東電の事業形態そのものを見直し、保有する発電所など電力関連施設売却も俎上(そじょう)に載せるべきだ。新規参入を促し、電力自由化を進めることは国民負担の軽減にもなるし、経済の活性化にもつながる。

 そもそも、なぜ他の電力会社までが東電の事故賠償の資金を負担しなければならないのか。国の負担を減らすためだとすれば、市場ルールを曲げる混乱要因を政府みずから作り出していることになる。各電力会社に、地域独占体制の温存を事実上約束する形にもなりかねない。今後の原発事故に備える仕組みが必要なら、賠償策とは切り離して構築すべきだ。

 12日の与党の会合では、電力労組などの後押しを受ける議員らから国の責任割合を高めよとの声が出たという。東電の負担軽減が狙いとすれば、なんと国民感覚からずれた話だろう。

 改めて言う。東電を守らないと、賠償が進まないわけでも電力供給が滞るわけでもない。法案提出までに再考すべきだ。

14/05 メルトダウン―原発安定の道、多重で

 福島第一原発の事故炉を封じ込める道筋が大きく揺らいだ。

 1号機で、炉の燃料棒が溶けて下に落ちるメルトダウンが起こっていたらしいと、東京電力が認めた。圧力容器からも、その外の格納容器からも、大量の水が漏れているようだ。

 このままでは、格納容器を燃料上部まで水で満たす冠水方式を進められない。

 東電は4月中旬に出した工程表で、冠水方式をとれば3カ月ほどで炉を安定して冷却できると説明していた。

 目算は大きく狂った。原発の深刻な事態が収束するまで「6~9カ月」という見通しにも、黄信号がともった。

 なによりも、まず1号機を抑え、次に別の炉を、という期待をしぼませたことは大きい。

 メルトダウンがわかったのは作業員が原子炉建屋に入り、水位計を調整して水面の高さをわかるようにしたからだ。

 炉の中でおきていることを、信頼度の乏しいデータから推し量るしかないのが、原発事故の恐ろしさだ。

 事故炉の封じ込めは、姿の見えない敵を相手に闘う難作業の連続だ。自動カメラやロボットで近づいたら、予想と違う状況だったということもありうる。

 現行の工程表は、炉を冷やして止める手だての柱を、冠水方式にしている。

 事態収拾にあたる技術者は他の方策も考えていたが具体化は遅れ、冠水方式に期待した作戦を進めていた。そのため、今回のように見直しを迫られたとたん、周辺地域はもちろん、国内外にも大きな落胆と不信を芽生えさせてしまう。

 新しい工程表では、いくつかの有力シナリオを併記してほしい。今の方法が頓挫したら、直ちに次善の手を打てる構えで臨むべきだ。最悪の場合もこんな手がある、ということまで率直に語るべきではないか。

 どんな方法をとるにしても、圧力容器の底にたまった燃料はこれから何年も冷やし続けなくてはならない。

 気になるのは、冷やすために注いだ水が汚染してふえる一方だということだ。汚染水が施設外に漏れ出さないようにためる場所をふやす必要がある。たまった水を浄化しながら、循環させて冷却に使うといった方法も急いだ方がよいだろう。

 そして、メルトダウンした燃料という新たな厄介ものを最後にどう処理するか、という重荷も背負い込んだ。

 当面の目標にする冷温停止の先にも、この大きく重たい課題が待ち受けている。

11/05 国際離婚条約―「加盟後」の姿が見えぬ

 国際結婚が破綻(はたん)した時の子の扱いを定めたハーグ条約加盟への検討が政府内で進んでいる。

 一方の親が16歳未満の子を無断で国外に連れ去った場合、元の居住国にいったん戻し、その地の手続きに従って子の面倒を見る者を決めようというのが条約の骨子だ。欧米を中心に締結を迫る声は強く、結論を出す時期は近いとされる。

 加盟国は80を超え、「日本人に子を奪われた」と問題になっている事例は約200件にのぼるという。国際社会における日本の地位や他国との協調を考えれば、いつまでも決断を先延ばしするわけにはいくまい。

 歴代政府が慎重だったのは、夫の暴力を耐えかねて子と一緒に帰国したという日本人妻が少なくないからだ。異国に戻り、不慣れな言葉や法慣習の下で主張を貫くのは容易でない。

 だが、子を連れ去られた側に視点を移せば事情は一変する。日本人がその立場に置かれている例もある。それまで暮らしていた国で関係を清算し、子の処遇を決めるという考え自体には一定の合理性がある。

 もどかしいのは、この問題が政治日程にのぼって相当の時間が経つのに、「加盟後」の姿が一向に見えないことだ。

 引き渡し要請がきた場合、どの機関が責任をもち、どうやってその子を捜し出すのか。条約は、子に「重大な危険」が及ぶ場合は返還を拒めるとするが、国内でどんな法律を制定して保障するのか。抵抗された場合、いかなる手段をとるのか。加盟諸国は実際どのように対応し、問題は起きていないのか。

 細部までの設計は無理としても、不明な点があまりに多い。海外に住む日本人の保護と支援は政府の重要な仕事だが、加盟後の取り組みも判然としない。弁護士らから「外交とりわけ対米関係を気づかうばかりで国民の方を見ていない」と批判の声が上がるのも理解できよう。

 この条約は一見、国境を越えた結婚をした人だけに関係するもののように映る。だが考えを進めていくと、離婚後の親子関係をどう築くか、子の意向をどうくむか、子の利益を最優先で考えるとはどういうことか――といった普遍的な問題が浮かび上がってくる。親権のあり方や養育費の支払い確保策など、国内の制度に将来影響が及ぶ可能性も否定できない。

 政策決定の過程で情報が適切に開示されない傾向が、民主党政権には往々にして見られる。親子や家族の間に深刻な混乱を招きかねないテーマだけに、十分な説明と手当てを求めたい。

10/05 浜岡原発―津波だけではない

 東海地震の想定震源域の真上にある浜岡原発のすべての炉が当面は止まる。菅直人首相による異例の求めを中部電力が受け入れた。

 東日本大震災によって東京電力福島第一原発の事故が起き、原子力の安全神話は崩れた。

 国内で最も危険といわれてきた原発を止め、安全対策を強めるのは当然の決断と言えよう。

 ひとつ気になるのは、首相の要請が防潮堤づくりなどの中長期対策が施されるまで、となっていることだ。地震の揺れそのものに対しては大丈夫なのか、という心配が残る。

 中長期対策は、福島第一の事故を受けて、原子力安全・保安院が、津波に対する備えや、それによって起こる電源喪失などへの対策を確実にするために求めた。

 中部電の計画では、防潮堤のほか防水扉、非常用の炉心冷却系や電源を充実させる、と説明している。そこには、揺れそのものに対する安全度の確認や補強策は含まれていない。

 浜岡原発がこれまで不安視されてきたのは、なによりもプレート境界型の巨大地震である東海地震の揺れに耐えられるか、ということだった。

 そのこともあって、中部電は早めに手を打ち、2005年に補強を表明した。ほかの電力会社も追随した。

 それでも、06年に改定された新耐震指針による浜岡原発に対する保安院の審議は、まだ終わっていない。

 長引く背景には、07年の新潟県中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原発が想定を大きく超える揺れに見舞われるなど、新しい事態に直面したことがある。

 東日本大震災からも、教訓を得る必要がある。

 福島第一原発の事故では、津波の高さばかりに目が向いている。だが、原子炉の配管系が津波襲来より前の強い揺れで大きく損傷した可能性がある。そして、揺れの最大加速度だけではなく、その継続時間の長さにも特徴があった。

 安全対策で忘れてならないのは、一つのことに目を奪われてはならぬということだ。

 福島第一原発は、それまで関心の低かった津波によって予想外の大打撃を受けた。浜岡で、その逆の愚をおかしてはならない。地震の揺れを忘れまい。

 日本列島周辺の地震の仕組みや危険度については年々、新しいことがわかってきている。新知識をとり込みながら、原発を動かすか止めるかを決める。

 そういう柔軟な原発政策が、いま求められている。

09/05 エジプト革命―中東の民主化モデルに

 民衆のデモによって30年続いた強権体制を倒して3カ月。エジプトは秋に予定される初めての民主的総選挙に向けて熱い政治の季節を迎えている。

 中東情勢では、政府による弾圧が続くリビアやシリアに目を奪われがちだが、中東の将来に大きな影響を与えるエジプトの民主化の行方にも注目したい。

 エジプトでは議会選出まで、軍が全権を掌握している。革命で警察がデモ隊に銃撃し、800人以上の死者を出したために、中立を守った軍が秩序維持を担うことになった。

 革命後の混乱は、カイロでイスラム教徒とキリスト教徒の衝突で死傷者が出るなど続いている。しかし、民主化の実現が軍頼みであることは、異常な事態なのだと、忘れてはならない。

 これまで、市民の政治組織の連合体が要求してきた旧体制の清算や民主化について、軍はおおむね受け入れてきた。

 大統領の任期を2期8年までに制限する憲法改正案が国民投票で承認され、秘密警察は解体された。前体制で任命された軍出身の首相は解任され、文民のシャラフ現首相が任命された。

 ムバラク前大統領に対するデモ隊への武力行使や不正蓄財の疑いでの取り調べも始まった。

 軍が国民の意思を尊重するのは、国民と国際社会の圧力があるためだ。今後も軍の動きに目を光らせる必要がある。

 民主化実現には一日も早い総選挙の実施が必要だが、新しい政党の創設や民主化の啓発には十分な準備期間も必要だ。

 旧政権下で最大野党でありながら、非合法だったイスラム組織のムスリム同胞団が4月末にやっと政党を発足させた。

 民主化デモで中心となった既存の政治勢力に入っていない若者たちが政党をつくる動きもある。若者たちの間では民主化の準備のために、できるだけ時間が欲しいという声がある。

 政治プロセスを急ぐばかりでは、旧政権関係者や軍の人脈、旧野党など既存勢力が政治を独占することになりかねない。

 国際社会はエジプトの政治や社会の状況に応じて、国民が望む形での民主化が実現するよう支援することが求められる。

 エジプトは、アラブ世界で政治、教育・文化、宗教の中心であり、中東和平でも重要な調停役を演じる。この国で民主主義が実現すれば、強権支配や暴力やテロがはびこる中東の民主化モデルとなるはずだ。

 旧政権時代に経済や社会開発を援助した日本は、民主化を助け、新たな政治の担い手と信頼関係を結ぶことが必要だ。

15/05 作業員、心筋梗塞か…被曝影響考えにくいと病院

 東京電力の福島第一原発で14日朝、作業中に意識不明となり、搬送先の病院で死亡が確認された60歳代の男性作業員の死因は、心筋梗塞の可能性が高いことが病院への取材で分かった。

 病院によると、コンピューター断層撮影法(CT)による検査や血液検査などを実施したところ、心筋梗塞を疑わせる反応があったという。病院は、「放射線被曝 (ひばく) の影響は考えにくい」としている。

 一方、東電は同日、記者会見で、男性が体調不良を訴えて倒れた午前6時50分頃、同原発内に医師が不在だったことを明らかにし、松本純一・原子力立地本部長代理は「今後は暑くなるので、作業員の体調管理も万全を期したい」と語った。

 東電によると、医師については、福島第二原発に1人、作業員の活動拠点「Jヴィレッジ」に4人を、それぞれ24時間体制で配置しているが、福島第一原発には、医師の被曝が懸念されることから、1人を午前10時~午後4時の6時間配置するだけだったという。搬送された病院は約40キロ離れていた。

(2011年5月15日03時04分 読売新聞)

14/05 2、3号機もメルトダウンの可能性…東電認める

 東京電力は14日の記者会見で、2、3号機の原子炉について「最悪の場合、1号機と同様のケースが想定できる」と説明し、核燃料全体の溶融(メルトダウン)の可能性を初めて認めた。

 1号機では、11日に水位計を調整した結果、炉内の水位が低く、燃料が冷却水から露出して溶けたことが確実となった。2、3号機の水位計はまだ調整していないが、1号機と同じ仕組みのうえ、もともと1号機より低い水位を示している。

 ただ、東電は炉内の温度などから、2、3号機は1号機より燃料の損傷が少ないと推定している。

(2011年5月14日22時34分 読売新聞)

14/05 米、使用済み核燃料の中間貯蔵施設保管案を発表

 命していた有識者会議は13日、ネバダ州ヤッカマウンテンに計画されていた使用済み核燃料の最終処分場に代わり、中間貯蔵施設を造る代替案を発表した。

 福島第一原発の事故を受けて使用済み核燃料の危険性に対する関心が高まり、約6万5000トンの米国内の使用済み燃料の扱いが焦点になっていた。米国の核燃料は現在、福島第一原発と同様、大半が原発内のプールなどで保管されている。代替案は、これらを一つまたは複数の中間貯蔵施設に運び、100年程度、集中保管するというもの。施設の具体的な建設場所は示されていない。

 広大な山地のヤッカマウンテンの地下は、1970年代から最終処分場の候補地として検討され、2002年にはブッシュ前政権下で建設が始まっていた。しかし、地元の強い反対を受け、オバマ政権は09年に建設中止を決め、有識者会議に再検討を求めていた。有識者会議は12年1月に最終報告書をまとめる。

(2011年5月14日18時36分 読売新聞)

14/05 原発作業員、汗だく防護服で3時間・水飲めず

 福島第一原子力発電所で事故後、作業中に初めて死者が出た。

 14日に亡くなった60歳代の協力企業の男性の死因は、わかっていないものの、放射線量を気にしながらの防護服での作業は、身体的、精神的な負担も大きく、作業員に不安が広がっている。

 「いくら安全と説明されても、怖いものは怖い。目の前の原発が爆発するかもしれない」。先月上旬から汚染水をためる大型タンクを作っている30歳代の作業員男性は、不安を隠さない。

 作業時間は1日3時間だが、防護服は蒸し暑く、作業後、全身が汗だくになる。作業中に線量計の警報音が鳴っても3時間はきっちり働かされ、「ストレスで寝付きが悪くなった」。

 3月下旬から約1か月間、同原発で作業に当たった20歳代の男性作業員は「防護服での作業は飲み食いできない上、トイレにもいけない。夏までには何か対策を考えないと作業にならない」と語った。

(2011年5月14日14時55分 読売新聞)

14/05 福島第一原発作業員が体調不良、病院で死亡

 東京電力の福島第一原子力発電所で14日午前6時50分頃、機材の搬送をしていた東電の協力企業の60歳代の男性作業員が意識不明となり、福島県いわき市内の病院に運ばれたが、午前9時33分に死亡した。

 同原発の復旧作業中に作業員が死亡したのは初めて。東電で死因などを確認している。

 東電によると、男性は午前6時頃から、高濃度汚染水が移送されている集中廃棄物処理施設内の4つある建物の一つで、同僚男性と電動ノコギリを2階から1階に搬送している最中に体調不良を訴えた。同原発内の医務室に運ばれ、作業員の活動拠点「Jヴィレッジ」で医師の診察を受けた後、午前8時35分頃、病院に搬送された。男性のいた建物地下2階に汚染水が貯蔵されていたが、男性は防護服を着ており、被曝ひばく線量は0・17ミリ・シーベルトで、身体に放射性物質の付着はなかったという。男性は、前日の13日から同原発に入り、午前6時~9時の作業時間で働いていたという。

(2011年5月14日13時19分 読売新聞)

14/05 3号機注水量増やす…原子炉の温度上昇止まらず

 東京電力は14日、福島第一原発3号機について、原子炉の温度上昇が止まらないため、同日午前から注水量を毎時3トン増やし、計15トンにしたと発表した。

 3号機は、今月に入って原子炉温度が上昇。東電は「注水配管から水が漏れている可能性がある」として、12日夕から別の配管からも注水していた。二つの配管で計毎時12トンを注水していたが、14日未明になっても原子炉温度の上昇が続き、従来の配管からの注水量を増やすことにした。新たな配管からの注水がうまくいっていない可能性がある。

(2011年5月14日13時11分 読売新聞)

14/05 家畜安楽死「するなら早くして」農家悲痛な声

 政府は12日、東京電力福島第一原発の20キロ圏内(警戒区域内)の家畜の安楽死を指示したが、農業関係者は悲痛な声を上げ、しっかりとした対策を求めた。

 警戒区域内で牛を5頭飼育していた福島県葛尾村落合、農業吉田照治さん(72)は12日、一時帰宅して牛と再会した。その直後に、報道陣から枝野官房長官が家畜の安楽死を発表したことを聞き、一瞬、驚いた様子を見せ、「処分するなら早くしてほしい。あのまま置いていてもつらいだけだ」と肩を震わせた。

 県畜産振興協会の松川裕専務理事は「警戒区域内で畜産継続は難しいのが実情。殺処分はやむを得ないと思うが、農家の気持ちを考えるとつらい。国は責任を持って補償すべきだ。一刻も早く原発事故を収束させ、農家が再起できるようにしてほしい」と悲痛な様子。JA全農福島は「補償の枠組みをしっかり決め、所有者の同意を得た上で処分に入るのが大前提。衛生状態の悪化や家畜の野生化など心配される事態に、国や県はきちんと対応してほしい」とした。

(2011年5月14日13時01分 読売新聞)

13/05 ドイツ緑の党、初の州首相…福島事故追い風に

 【ベルリン=三好範英】ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州議会は12日、「緑の党」のウィンフリート・クレッチュマン氏を州首相に選出した。

 緑の党の州首相就任は、1980年の同党発足以来初めて。3月に行われた同州議会選挙で、緑の党は前回選挙から得票率を倍増させて第2党となり、第3党の社会民主党(SPD)と連立政権を発足させた。

 脱原発を掲げてきた緑の党は、福島第一原発事故を「追い風」に全国的にも支持を広げた。世論調査機関フォルザによる最新の支持率調査では、メルケル政権与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が31%、次いで緑の党が28%、SPDが21%だった。他の調査でも緑の党は1年前まで15%前後の支持率だったのが、現在はSPDにほぼ匹敵する20%以上を得ている点で一致している。

(2011年5月13日23時33分 読売新聞)